第7話【魅惑的な出会い。】



異世界喫茶Barist,sは、本日もいつも通りの営業をおくっていた。

人気のない静けさの中で今日も、清々しい朝がくる。奈緒子は部屋のカーテンを開け軽く伸びをして、よし!と1人、気合いを入れて一階の喫茶へと降りる。

「マスター、おはようございます。今日の調子はどうですか?」カウンターでコーヒー豆の確認をしていたこの店の主のあおい

奈緒子は、はつらつと挨拶をする。

「うん、いつも通りだよ。」

「そうですか。いつも通り......」

とガランとした店内を見渡して奈緒子は呟く。

喫茶店の朝とは本来であれば通勤客の朝食の場と化して込み合うのが普通なのだが…

「お客さん来ないねー」

「そう、ですね。」とカウンターに立つ二人は誰も居ない店内を、ただ見つめるのだった。


「何か、水を食べ物をください...」

ガランコロン。朝の静寂な静けさを1人の一風変わった若いお客さんの来店で店内の静けさが破られる。魔女との戦いから逃げ出してきたマシロは、自宅への転移に失敗してしまいこの憩いの街へと降り立ち、緊急避難としてこの異世界喫茶Barist,sへと行きついたのだった。見慣れない店内を物珍しそうに眺めてカウンター席へと座る。そこで、マスターから話しかけられる。

「いらっしゃい。ずいぶんと若いお客さんだね。何かを飲む?」

「それより、何か冷たい水を、食べ物をくださいここ数日何も食べていなくて。」

「大変、行き倒れ寸前じゃない。」

ちょっと、待ってねとマシロを置いて冷蔵庫をガサゴソして、目の前にグラスに注がれた黒い液体が差し出される。

一口飲んでみる。

「うっ...苦い。なんか、変な味~。」

と突き返してしまう。

「ごめんね。口に合わなかったね。」とアイスコーヒーの注がれたグラスを下げる。

「それなら、これはどう?」


再び差し出されたグラスには黒い液体の上に白い物体がちょこんと甘い薫りを放ち魅惑的に浮かんでいた。

「ゴクリ...」いや、駄目だこれは獲物を釣るための罠に決まっている。と自分の中の警戒心がそう警告する。


だけど、本能が告げる。目の前のこの世のものとは思えないこの甘味にありつけるのならは死んだっていいと。

5秒もの間、目の前の得体の知れない美味しそうなものとにらめっこが続く。

「ゴクリ..いや、でも!」

と手をに取ろうとしては引っ込めて、また、手を伸ばして。いや、それでもこれは...

と心の中での攻防が続く。

マスターは、そんなマシロに戸惑い「ごめんね、これも嫌いなやつだったみたいだね。今、違うのと交換するからね。」と下げよとする。その刹那、『いや、飲むから!』マシロは、その手を止める。

そして目の前のグラスを一口、また一口と味わうようにして飲む。

「に、苦..い」口をすぼめる。が次の一口で、上に浮かんでいる冷たくて白いものを一口の中に入れる。すると口の中に甘さがやってくる。苦いのに甘くて美味しい魅力的な飲みものに目ををキラキラさせて感動するのだった。


その、様子を微笑まし笑顔で眺める。

「フロートってゆうんだよ」差し出したコーヒーを紹介する。「ふろーと...」マシロはゆっくり繰り返す。『美味しいね、ふろーと』

マシロはキラキラとした微笑みを向ける。

マスターは、そろそろ頃合いかなと優しくマシロに語りかける。「毎日、楽しくやってる?なにか悩んでなりしてきない?」と大人からの質問をする。

そこで、マシロは、「うーん暗闇がかった未来、かな。」と今後、魔女に支配されるであろう未来の行く末を心配しての答えだった。「そう、なんだ。何かお姉さんににお願いごとはないかな。なんだっていいよ。」と胸を張り言う。

そこで、マシロは真剣な眼差しをしてから

意を決したように「世界平和。」と小さく呟く。

「ごめんね。ちょっと壮大過ぎたよ。」と

マスターは苦笑する。今後の引きこもり生活の為の平和な世界を願っての応えで

マスターは、子供らしくない答えに度肝を抜かれるのだった。





















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