第4話【失態】
喫茶での仕事も終盤にきて集客の最後のビッグウェーブを迎えていた。その中で、奈緒子は積もり積もった疲労感に充実の心地よさを感じていた。仕事に励む私は、絶好調の時を迎えていた。
このままいけば、期待の新人バリスタが誕生となるのも、そう遠い未来のことではないのではないかそんな気がしていた。
そんな淡い妄想を抱いてお客さんへの接客に追われていた。
「ご注文のブレンドコーヒーです。ごゆっくり。」
「すいません、頼んだのはカフェラテなんですか...」
「すいません!!先程のお詫びにこちらはサービスで.こちらのコーヒーを...」グラッ「あっ...」
ガチャーン!!!コーヒーカップが、粉砕音と共に四方八方に砕け散る。
粉々砕け散ったカップの破片を拾い片付け終えていると、次なるお客さんが来店して来る。2人組のカップルで、
女性の方はなにやら、チャーミングなネコ耳としなやかな弧を描き左右に揺れる尻尾が印象的でつい、目がいってしまう。「2名様ですね、こちらへどうぞ!」
二人組のカップルを颯爽(さっそう)と空席へと誘導する。が、二人ははげしく顔をしかめる。
そこで、申し訳なさそうに一言。
「すいません、ここ喫煙席です..」
「すいません。でしたらこちらの席にどうぞ!」
あぁ、席が一杯。
「いえ、もういいです。」
「またの、ご来店を...」
ピシャンッ
乱暴に喫茶店を後にするお客に只、呆然とする。
奈緒子。その仕事風景を唖然と見る超美人バリスタ。
しかし、彼女の目はまだ、死んでいなかった。
1人のお客さんが焙煎豆の販売コーナーのところで物思いに真剣に眺めているのに奈緒子はいち早く気付く。「お探しの豆でしたらこんなのはどうですか?」
すかさず当店の自慢のブレンドコーヒーを勧めようとする。が...
『すいませーん!マスター!!』
華麗にスルーされてしまう
自分はお呼びではなかった。
当店一のバリスタの元へ駆け寄るお客を横目に唇を噛みしめる。
そこで、バリスタが一言。
「今日は、もういいから奥で休んでて」と肩を優しく叩かれる。悔しいけど今は、その言葉に従うほかなかった。
喫茶店の奥、4四畳半の片隅で1人で縮こまる新人バリスタがそこにいた。
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