第10話 佐伯健二現実を味わう
その日、阪神・淡路大震災は発生した。
広めの公園で夜を明かした健二は明け方の揺れで覚悟を決めた。
だが、彼が思っている以上に現実は厳しかった。
人の治療の為に前夜買い込んだ水などは目を離した隙に盗まれ治療を行っても所詮学生の持ち歩けた程度の医薬品。
すぐに底をつき今度は自分の食糧問題が浮上した。
結局健二は数名の手当てを行ったのみで荷物も荒らされ何も出来ないまま数日を飢えと戦いながら過ごして救助に助けられ家に帰った。
自分の愚かさを嘆きながら帰宅した数週間振りの我が家で待っていたのは更なる悲劇であった。
母親が健二の手紙を見てからテレビで地震を知り家を飛び出したまま行方不明になっていたのだ。
そして、母は帰ってきた。
遺体となって…
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