第8話 佐伯健二告白される

小学校の卒業式。

俺を広瀬が呼び出した。

あのイジメ日以来久しぶりに聞いた広瀬の声は低く声変わりをしていた。

そして、案の定謝罪の言葉から始まった。


健二としては誰にも邪魔されることなく勉強ができる環境になって喜んでいたのだがその姿を見てずっと後悔していたらしい。

とりあえずあまりにしつこく段々言い訳染みてきたので一発ぶん殴ってこれでチャラって伝えたら泣きながらありがとうと言われた。

その姿は健二の知っている広瀬で久し振りの笑顔を広瀬に向けて熱い握手を交わした。


そして、俺の二度の生涯で初めてのイベントが始まった。

広瀬が呼ぶとそいつは姿を見せた。

川崎だ。

川崎は言えなかったあの事件のお礼をずっと伝えたかったと泣きながらに言い出してきた。

一通り会話が終わり次に川崎からとんでもないことを伝えられた。


「私、健二くんの事が好きです!私とお付き合いしてください」


生まれて82年になるが初めての告白を受けて健二は…


「ごめん、俺は医者を目指すんだ。だから恋愛とかしている余裕は無いんだ。ごめん」

「つまり…好きな人は居ないんですね?」

「えっ?あっあぁ」

「分かりました。私待ちます!佐伯君がお医者さんになるまで待ちます!」


佐伯健二、82歳にして12歳の女子に押し負けた忘れられない日となった。

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