1話 死んだ…よな?
…うん。
誰か聞いてください。いや、本気で。
いくら精神がおかしかったとしても轢かれて死ぬ夢なんて見ないよね…?
いや…実際、死んだのは本当だろう。
ここが私の知らないところなのは確かなのだ。そこは病院なのでは?と思うだろう。違うのだ、そこで私も困っている。理由は、
目の前は知らない天井の前に…
知らない女性と男性がこちらを見ているからだ。しかも、私の身体は女性の腕の中なのか暖かくとてもいい匂いがする。
…すまない。匂いはどうでもよかったな。
それほど私は焦っているが、何故か女性と男性も焦っている。
見た目はとても日本人とは思えない。
日本というより2人ともヨーロッパ系の美形だ。
話はズレてしまったが日本語以外の言葉を話したことのない私が2人の言葉が分かるのに驚いている中、
女性「あなた、どうしましょう!
この子先程から泣かないの!何か病気でもあったら…私…」
男性「落ち着きなさい。
とりあえず、医者を呼んでくるから待ってなさい。」
あ、男性が去っていってしまった。
今の会話からすると私はもしや…
不安そうにしている女性のほっぺに向かって手を伸ばし
「あーあー(泣かないで)」
女性は泣きそうな顔からキョトンとしたような顔をし、一瞬で嬉しそうに笑顔になった。
すると、医者を呼びにいった男性が戻ってきた。女性の喜びようにハテナマークを浮かべていたが、未だ女性に手を伸ばしていた私を見て早足にこっちへきて
男性「良かった!」
と、私も巻き込み女性を抱きしめた。
抱きしめるのはいいが、
「あー!あー!(く、苦しい!)」
力加減は大事だと思うほど苦しい!
私の訴えが分かったのか男性は直ぐに力を緩めまた抱きしめ直した。
余談だが、連れてこられた医者は
完全に放置状態だが空気をよんでドアの前で微笑ましい顔をしながらこちらを見ていた。
そこから理解するのに苦労した。
まず、私はどうやら生まれ変わり…つまり転生したらしい。
先程から私を見て美しい顔で微笑んでいる女性が私の…今世の私の母親で、名前はカーラさん。ヨーロッパ系の所謂美女だ。
そして、現在進行形で私の頭を撫でている男性は、その女性の旦那さん…つまり私の父親に当たる人だ。名前は、ランバートさん。こちらもかなりの美形。
2人とも顔立ちが整っており、母親のカーラさんは、金髪に近い茶髪のふわ毛に顔は優しそうな茶色いタレ目、そばかすがまた似合う美女だ。
父親のランバートさんは、綺麗な金髪のサラ髪に顔は宝石のように輝く碧眼、シュッとした凛々しい顔立ち。もちろん美男。
そんな2人の子供の私もきっと美形なのだろうと大体想像はつくが、それよりも問題なのは
どうやら私は今世は男として生きることになった。
さっきまで放置だった医者がもう大丈夫だと思ったのかこちらへ来て2人としばらく話すと、唐突に私を抱き上げ…
医者「賢そうな男の子が生まれましたな」
へ?Eeeer_y3p&$-##¥¥"(#&$¥$#¥!!!
その時の私は初めて大声で叫んだかもしれない。それぐらい驚いたのだ。
もちろん叫び声はまだ言葉を話せないので、おぎゃおぎゃ言ってさぞ煩かったろう。
医者は驚き直ぐにカーラさんの腕へ戻した。
ちょうど私の叫びも終わったのできっとみんなは知らない人に抱き上げられてびっくりしたのだと思っているのだろう、万事OKだ。
まだ、整理はつかないが一応落ち着こう自分。思い出せ、今は赤ん坊だが精神は高校生だ。いくら何でも、おぎゃおぎゃ泣くのはそろそろ恥ずかしい。
そんな私が落ち着きを取り戻している中、
医者「そういえば、お名前はもうお決めに?」
母「えぇ、つい昨日決めたばっかりなの」
そう言うと、ランバートさんは
優しく先ほどと同じように私を撫でながら
父「お前の名前はルカ、ルカ・バーグソン」
これが私の新しい名前だ。
これから私はこの世界で生きてくことになるらしい、いやなるのだ。
あの時のような後悔しないよう神様が気遣ってくれたのかそれとも…
そんなことを考えていたが2人の+αの幸せそうな顔をみてそんなことはどうでもいいかと思えた。
気が抜けたのか気づけば私は寝ていた。
sideカーラ
本当に唐突だった。
予定していた日より一ヶ月も早く生まれた我が子を抱いた時、産まれた時はあんなに鳴いていたのに今は一声もあげない我が子に嬉しさもつかの間。
急に不安になり夫に助けを求め、
泣きそうになりながら抱いていると
おぼつかないながらも
泣かないでと言うように私へ手を伸ばす我が子に本当に安心した。
何故泣かなかったのかは今となっては謎だが赤ん坊にはいろいろあるらしく、少なくとも病気ではないらしい。
けど、そんなことはどうでもいいわ。
重要なのは我が子のこの可愛さ!
私と同じ髪色でぱっちりとした綺麗な碧眼!
きっとこの子は将来ランバート様のように綺麗な顔立ちになるわ!
それにあの時私に気を使い手を伸ばしてくれた時、私は確信したわ…きっと賢くそして優しい子に育つと!
今はぐっすり寝ている我が子を撫でながら誓う。
私はこの子を絶対に守る!と。
sideランバート
何度も焦る日だった。
出産予定日よりも一ヶ月も早くこの子が生まれ本当に焦ったのをよく覚えている。
それから大急ぎで医者を呼び、
なんとか無事に生まれ安堵して妻と息子の元へ向かうと
息子は一声もあげず、ただずっとこちらを見ていた。
そのことを最初は不思議に思ったが
不安になった妻が泣きそうになっているのを見ると考えは吹き飛び、焦りながらも急いで医者を呼びにいった
医者を連れてくると
息子が妻へ泣きながら手を伸ばしていて、
2度目の安堵だった。
こんなに心臓に悪い日はさすがにもう勘弁してほしいくらい焦った。
だけど、妻と俺の子供が出来たのだと思うと心の中がとても暖かくなりつい力加減を考えず抱きしめてしまった。
そして俺は今は寝ている我が子と妻を必ず守ってみせると誓った。
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