蛍光灯を8mmフィルムで撮影すると緑色に見える。

暗視カメラの映像は緑だ。

インディアンが言った。

「あの黄色い石を掘り起こしてはいけないという言い伝えは本当の事だった。」

黄色い石はほのかな緑の光を放つ。

オーロラは磁気の影響で発生する。緑一面のオーロラが北極近くで怪しくゆらめいていた。


ファラデーは実験室でコイルを巻く。電気が発生する。

磁石は金属の周りでぐるぐると回る。


茶色の結晶を人の体温で紫色の気体へと変換する。


雇用主に伝えられた部屋に辿り着く。

築年数の古い、緑色のネットの張られた補修中の建物だった。

中は事務所が主であるようだが、居住スペースも設けてあった。

水道をひねると茶色の水が噴き出す。

外階段の床は緑色だった。


緑、というのが採用されたのは心理的に穏やかにする効果があるとか

目に優しいという理由からだろうか。

一時期どの建物にも必ず緑が含まれたのではないかという程の頻度で緑の床に会う。

自動車のメーターが緑色に発光していた時代。

その緑を見ながら、FMから新しく音楽と、高速のオレンジ色のナトリウムランプを見つめていた。


とても長い拘束だった。

その拘束の間、私は明らかに自分自身が変わっていくのを感じた。

疲れたのだ。

移動は全て彼の車、もしくはヘリコプターで行った。

そんな自分が何だかとても恥ずかしく思えたのだ。


私は何も言わなかったが、彼は粗末な部屋をこうして用意してくれた。

そして仕事もグレードを下げると言ってくれた。

グレードが高いと言っても、汚れ仕事には変わりがないのなら

いっそ低くて最低と思われる仕事の方が良い。


何もかもを捨て、身ぎれいな路上の民になるのも良かったが

この社会では路上しか自由な場所がない。

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