ある男の行動記録

廃他万都

私は外に出た。久しぶりの太陽に手をかざす。

その瞬間2001年宇宙の旅の胎児のように、皮膚が透明になり、赤い血管が見える。

皮膚は限りなく黄色に近く見えた。


駅の付近で火災が発生したようだ。

サイレンがどこかの道から向かってきて、近くのどこかで止まった。

駅に向かっている私から見て右手の方角からだった。


私が研究所からの解放を望むと、雇用主はお前の家はもうないと言った。

今起こっている火災は、ひょっとしたら私の家のものかもしれない。


後日それはガス会社の事故だとテレビで見た。

その映像が本当かどうか、ふと私は疑ってみたが

それはさほど意味のないことだと思った。


世界の中で我々がコントロールできる事象など、限られているのだ。

人の人生など一瞬の火花のようなもの。


コンセントから飛び散る青い火花

線香花火の終わりの方に現れる、彼岸花のようなものだ。


今年の夏は高熱で意識を失うほどの体温と同じくらいの気温が支配している。


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