8日目 赤薔薇 青薔薇
【登場人物】エイダ、クロヴィス
※ロミジュリ想区の1場面後より
※エイダの薔薇については捏造
※ラブではない
※ちょっと腐向けな発言がある
※あくまで発言のみ
ヴェローナ市キャピュレット領。とある宿屋にて作戦前夜。外ではエクスとシェイン、その後ファムに、一人レイナが立ち替わり入れ替わりで会話をしている。
「若さというヤツだな。まぁファムは私と同じような感じもするが」
小さく突き出たバルコニーから下界を眺めエイダは隣で同じく外の様子を伺うクロヴィスに話しかける。クロヴィスは少しつまらなそうに鼻を鳴らすと、
「歳はあの魔女の方が数倍若いだろ」
「………………」
エイダの殺気を気にする風もなく返事をする。
「なぁ、その赤い薔薇は主人からもらったのか?」
満月が間近に迫る月夜に照らされた白銀の上の赤い薔薇は普段よりも美しく輝く。クロヴィスはエイダの気分直しに話題を振った。
「……ああ、そうだ。まぁ、正しくは主人を守るために妖精が施した魔法だ。そして、忠義の証だ」
エイダも少し上がった息を調えながら応える。もし、クロヴィスが何も話してこなかったら、また、この話題でなかったら一発ぶん殴っていたかもしれない。
「そうか」
話題を振っておきながらクロヴィスはいつも通り話の続かない短い言葉を発する。エイダはいちいち気にするのも疲れそうだと好きに話をすることにした。
「お前のは青い薔薇だな。今の主人は…エクスか?主人ってほどでもないか」
そういって宿屋の入り口に差し掛かるエクスを見つめた。
「エクスは主人ではない。ただ、誠意をもって尽くす存在だな」
「誠意か?完全に私欲にまみれている気もするが」
「なに?」
エイダは先日のジュリエットとクロヴィスのやり取りを思い出して吹き出した。ファムの言葉を借りるとまさに「忠犬」。あそこまで瞬時に動いてくれるとは中の人もビックリだ。
「ははは。あー、いや、ふぅ。とにかく、お前のエクスへの振る舞いはもはや主従、もしくは、プリンセスとナイトだな」
「………」
ひとしきり笑ってエイダはそういいつつももう一つ思い付いた。
「しかしエクスがプリンセスポジションとは考えにくいな。エクスはノーマルで、クロヴィスお前がなんというか一方的な、あれな感じのやつだ」
どんな感じなんだというツッコミはなしでお願いしたい。
「なんだその、好きなやつにちょっかいかけるのが転じて、好きなやつを一方的に守ってあげちゃうキャラみたいな言い方は」
それだ。
「端からみてるとアレだぞ。お前はエクスしか興味もなければ、エクスが被害にあっていなければそれ以外が被害にあっていても構わない的な」
「酷い言われようだな。……しかし、そうかもしれない…」
クロヴィスはふと目を閉じ、エクスを思い浮かべる。何故、青髭の想区から年月が経っている訳でもないのに身体が、心が素早く反応しているのか。そして、先程の光景に苛立ちを感じたのはーー
「……まさか、これが、恋か?」
「は?」
クロヴィスのまさかの発言に、若干面白半分に煽っていたエイダも聞き間違えじゃないかと耳を疑った。
「いやいやいや、すまん。私が変な風に言ったのが悪かった!その思考はやめろ!」
エイダは慌ててクロヴィスの思考回路を断とうとしたがクロヴィスのスイッチは既に押されてしまった。
「いがみ合うロミオとジュリエットも所詮は想い合う存在。そう、神はこう説いておられる。愛は偉大なり、と」
意味分からん!そしてそれは先日のヨリンゲルの言葉じゃないのか?
「ク、クロヴィス!愛は偉大だが、お前がエクスに抱く愛は何か違う気がするのだが!」
必死にクロヴィスに話しかけるも、クロヴィスは何か確信したように、眼鏡を外した。本気である。
「そうか…あの方が言っていた本当の意味はこのことだったのか。好いた惚れた、そして愛するのに性別など関係ない。エイダ、何をブツブツ言っているんだ。お前だってその盾でいつも守っているのは少女や女性じゃないか」
「一緒にするなー!」
エイダの叫びは月夜に響き、宿屋の一階で暖をとっていたエクスは得たいの知れない悪寒を感じた。
チャンチャン♪(とりあえず終わる)
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