6日目 亀と兎
注:中の人は『チェシャ猫の記憶迷宮』未プレイ
代用ウミガメのキャラを上記のSSとグリムパークで知ったので、見た目から割り出した妄想による設定。最初は1つの物として上げるつもりがそんなに長くならんかと思いここにアップ。
そして少しふざけました。
というのが許せる方下へお進みください。あくまで、亀と兎です。
【登場人物】三月兎、代用ウミガメ
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「参ったなぁ~マジやばいよ~!」
目の前にはもちろん、既に背後にもその黒い物体は湧いて出た。
ヴィラン、と先程まで一緒にいた旅人は言ってたっけ?あれ?なんでうち、やっぱ待っていようって思ったんだっけ?なんでアリスちゃんについていかなかったの?ありゃりゃ?
「もーどうするのさ!ハッターーー早く帰ってきてよぅ!」
えいさっ!と杖を振れば闇の力を宿した魔球がヴィランに向かって放たれ、少しばかりの数は減らせるがどうやらここにいるヴィランは闇耐性らしい。一発でモヤにならないのはちょっと苦しい展開。
帽子屋ハッタの光の魔球なら!先程からヴィランに囲まれている兎こと、三月兎は半べそかきながら逃げるすべを考えていた。
兎となんとかは逃げるのが速い。
なんて、誰が言ったんだ。誰も言っていないよ!
半ばやけくそになりながら三月兎は杖をふるい続ける。しかしそれも、新たな敵の出現で無意味とかす。
「ひぃええええ!?むりむりむり~!死んじゃう!うちはシューターなのさ~!」
さっきから何か弾かれてる音がすると思ったら、ブギーヴィランの後ろにごっつい盾を持った獣型ヴィランがいるじゃないか。しかもちょっとでかいヤツ。こりゃシューターとの相性は最悪だぞ\(^O^)/オワタ
泣いていいのか、もはや笑うしかないのか、その場に立ち尽くすことしか出来ない諦めモードの三月兎にヴィランが迫ってくる。
死ぬーーー!
ガンッ!三月兎が目を閉じ身体を強ばらせた瞬間。とてつもなく硬いものと硬いものがぶつかり合う音がした。それは三月兎にヒットした音ではない。
「大丈夫か
三月って何?うちは
「ウミガメモドキ!どうしてここに?」
たぶん、代用ウミガメも、誰がウミガメモドキだ、俺は代用ウミガメだ!いや、あんまり意味変わらないなって思っているだろう、代用ウミガメに叫んだ。
記憶違いでなければ自分とハッタ以外は現在違った意味で狂ってるハートの女王に捕まっていたはず。
「ああ、なんか抜け出せた…というか、僕みたいなヤツは捕まえる勝ちもないのさ」
あ、超ネガティバーだったわ。だけど、なんか今はカッコいい。これってあれだよね?ヒロインが助けられるシーンだよね?恋しちゃう?しちゃわない?
「……じゃなくて!とりあえずここから抜け出したいよ~!ウミガメモドキ何とかして~!」
代用ウミガメが既に止めていたヴィランを自慢の斧で仕留めたのは見届けたが、ゾロゾロとヴィランはこちらへ向かってくることに変わりない。ふたりで何とかなる感じでもない。
「仕方ない。逃げよう」
代用ウミガメは斧と盾を構え直して『モック・タートル・シェル』を発動させる。
「シューターでも少し硬くなれば逃げ切れるよ。逃げるは恥だが…」
「ダメ!それ中の人実は観てないんだから!」
流行した言葉を安易に発しさせない今日の三月兎はとてもまともかもしれない。
言葉を止められたことに少し不服そうな代用ウミガメだが、この防御が続いている間に安全な場所に逃げなくてはならない。
「行くぞ!三月!」
「え?ちょ?はーーなーーしーーてーー」
大量のヴィランに少し足がすくんでいた三月兎を代用ウミガメが片手で軽々と持ち上げた。そして、斧でヴィランを蹴散らしながら走る走る。意外と速いな。極東の兎よ。この亀には普通にやっても負けるかも知れない。そんな心配を三月兎は担がれることへなのか、慣れないことに対する照れなのか、気を紛らせるように考えた。
ーーーーーーーーー
だだっ広い草原。今のところ何もいない。
そして、三月兎はポツンと地面に降ろされ、目の前で踊るウミガメを見ていた。
ーーロケット並みに、加速だブースター♪
何やら上機嫌らしいがカッコいい顔と声が台無しだ。
「ヘイヘーイ!ウミガメモドキ!あんたのダンスは見飽きちゃったからとりあえずお茶でも飲まなぁーい?」
時としてど直球な言葉は大切である。
歌って踊れる亀はダンスをやめ少し傷ついた顔で三月兎の前に戻った来た。
「………僕がまだウミガメだった頃は…」
「ハイハイ。それよりもお茶飲んで!」
ネガティブモードになりそうな代用ウミガメの言葉を遮って、三月兎は空のティーカップを渡す。
「また、こういう嫌がらせをする」
「ほらほら飲んで飲んで!今はティーもケーキもないのさ。気持ちで飲むんだよ!ポジティブになれるお茶だよー」
ほらほら、と三月兎が急かすと、渋々空のティーカップを口に当て傾ける。
「ほらほらどーぉ?なんかさーうち、ウミガメモドキに興味わいちゃったからぁー今度二人でお茶飲まなーい?」
自分でも若干何を言っているのか分からなくなってきた。ただ、自分を助けてくれた瞬間と、担がれた経験と、ちょっとネガティブなのかハイなのか分からない、とりあえず顔と声は良い亀に心惹かれたのだ。
「三月には帽子屋がいるだろう」
空のティーカップは、もちろん飲み干し、空になったので三月兎に返す。
三月兎はあー、っと短く声を発してニヤリと笑った。
「ハッタは気の合う、良いことも悪いことも面白可笑しく、そしてキチガイに!をモットーにしたいわば兄弟!そしてアリスちゃんを待ち焦がれるマッドティークラブさ」
シャキーンと決めポーズを決める。やっぱハッタがいないと決まらない。
「僕はグリフォンとアリスを待っているよ」
「いやいや、そう言う話じゃなくってー。んーまーさーちょっとランデブーしようってハナシ!」
なんで、こんなにぐいぐい押しているんだろう。
三月兎はもともと狂っているのにさらに狂っているこの世界で胸に芽生えた今までにない感情を覚えた。
それが、恋、なのか?
「そうだ。今度イモムシのハナシ聞きに行こう!」
「……勉強なら悪くないな」
ただそれが代用ウミガメに伝わるかはまた別のお話(あるとは限らない)
チャンチャン!
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