とある作家の創作戦訓

ながやん

第1話・はじめに

 はじめての方、こんにちは。

 顔馴染かおなじみの方、お疲れ様です。


 本作品は自分のラノベ作家としての五年間を振り返る、反省会リザルトを兼ねたものになります。

 ラノベ作家とは、どういう仕事なのか? 筆で飯を食うとは、どういうことなのか? 多くの作家志望の方へ向けての、ちょっとした経験談のアドバイスです。以下の三つの点に留意の上で、話半分に読んでいただければ幸いです。


・ラノベ作家、長物守ナガモノマモルという人間について。

 2011年に新人賞を受賞しデビュー、三作の作品を出版するも全て打ち切り。最後には「」という偉業?を成し遂げ、一度プロ作家から身を引くことになりました。

 年齢はアラフォー世代、東北の人間で専業作家です。もう一つ、このお話で最も大事なファクターとして知って欲しいこともあるのですが、それは最後にとっておこうと思います。趣味はゲームやガンプラ、ロボットアニメが大好きです。酒と珈琲をこよなく愛し、盲目の両親と親子三人で暮らしています。


・プロの作家というものについて。

 どんな分野でも、それで飯を食うとなればプロフェッショナルです。そして、プロの人間は弱肉強食の実力社会で戦わなければなりません。いいも悪いも自分次第、有能な人間が富と名声を得る反面、無能な人間をプロのまま生かすシステムは存在しません。一切合財が自己責任という世界であることを、まず知っておいてください。そのことを理不尽だ不条理だと思う方は、僭越せんえつながらプロの世界には向いていないかと思います。自分にとって「この世界でなら、自分の力が導く結果に納得できるぞ!」という活躍の場を探し、そこで自分を鍛えて学びながら生きればいいという話ですね。


・編集部という組織について。

 最初にまず知って欲しいのは、自分は編集部に対して悪感情、怨嗟えんさ憎悪ぞうおの気持ちを持っていないということです。

 編集部、そして担当の編集者は作家の友達ではありません。出版という事業を成功させるビジネスパートナーです。そして、編集部は企業として「」を第一に考えざるを得ない体質があります。作家が「いい作品」を書こうとする以上に、編集部は「売れる製品」や「売りやすい商品」を求めています。それは善悪ではなく、企業というものの本質、市場原理主義です。

 出版はチームワークで行う事業であり、作家はその中の一つのポジションに過ぎません。そして編集部は、作家を一番理解しようとする読者であり、作家が一番最初に納得させなければいけない敵なのです。そして大前提として「チームは皆、よかれと思ってベストを尽くしている」という共通認識がなければなりません。


 とまあ、こういう感じでこれからラノベ作家長物守の失敗談や経験談をつづります。

 基本、全てが「長物守が無能だから」に集約される話ばかりです。有能だったなら、今頃新作を皆様へとお届け出来ている訳でして。自分が無能ゆえにこうした結果を招き、利益にならない人間故に去らねばならないのです。毎年いくつもの新人賞から、それぞれ十人前後の受賞者や拾い上げが生まれます。年間で百人いるかいないかの新人がデビューする訳ですが、飽和状態のラノベ市場と不景気な出版業界で、総数としてラノベ作家は大きく増えてはいません。その理由が、淘汰とうたされる無能な人間の存在という訳です。

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