京都散策

昔から変なこだわりがある。

みんなのナンバーワンははずす。

ご飯を食べに行っても、お店の人気ナンバーワンは頼まない。

小学生の頃みんなが集めていた、シールも天使は集めず悪魔を集める。

ミッキーマウスよりも、ドナルドダックが好き。

全米ナンバーワン映画はさけて、あまり話題にならないマイナーな映画を見る。

好きな漫画もみんなが大好きドラゴンボールはみず、独自路線であまり世に出回っていない物を読みあさっていた。

別にあえて外すという感じではなくて、

なんだかみんなが騒いでいると、妙に冷めてしまうのだ。


だから中学校の修学旅行でも、せっかく京都に来たのに、自由行動があったのにも関わらず、金閣寺はさけ銀閣寺のみに行く、みんながとるメジャーなルートをことごとく外して行動していた。

まぁこの時は班のメンバーとあとから、やっぱり行っておけばよかったと話ながら後悔ししていたのだが…。


そんなわけで初めて行く金閣寺に僕自身もワクワクしていた。

路線図と乗り場をすんなりとみつけて、二人でバスに乗り込んだ。

平日だし桜や紅葉のシーズンでもないので空いているだろうと考えていたが、あまかった…。


どうやら修学旅行のシーズンらしく、学生達が多く乗車していた。


「日本バスたかい?」

「京都はそんなに高くない。どこまで行っても260円」

「中国もっと安い。」

「そうだよね。」

「これなに?」

降りますボタンを押しそうな勢いで触っていたので慌てて、

「押したら駄目だよ。」

「なんで?なに?」

「降りる時に押す。誰も降りなければ、バスは停まらない。」

「あー。中国これない!全部停まる。」

「そうなんだ。」


彼女と話すのはとても楽しい。

会社の事。同じ研修生の事。

それから中国の事。いろいろな文化の違い、

なんとなく思っているイメージ通りだったり、誤解があったり…。

初めてのデートは言葉の壁がもどかしかったけれど、燕の日本語の上達ぶりには頭が下がる。

今ではほとんどスマホ無しで会話が成立する。


バスを降りると、目の前にある「なまやつはし」の宣伝用の人形を


「かわいい」


と微笑みながらスマホで撮影している。

すかさず


「いや燕のが可愛いよ。」


なんて言ってみる。

へへへ。

と照れ笑いしながら僕の手をとって横の坂道を歩き始める。


坂の上の車道を警備員に誘導されながらわたると、寺まで続く緑色の木々の道を学生服と沢山の外国人(中国人が非常に多い)にまぎれてチケット売り場にむかった。


御札形の粋なチケットを彼女に渡すと、物珍しそうに、まじまじと見てそれから僕に渡した。


「いやいやチケットだから自分で持ってね!」

「あーOK!」


チケットを見せて中に入ると、わりとすぐに金色の寺が見えてきた。

「わぉーなんか感動だな!」

と最初に声をあげたのは僕の方だった。

今までは自分の知ってるところに案内していたが今日は違う。

それを見て


「あなたも初めて見る?」

「うん。初めて見た!」

「一緒に初めて、私はちょと嬉しい。」

「私も嬉しい!」


初めてを共有して共感出来たこと自体が初めてだったのですごく嬉しかった。

今となれば修学旅行で行かなくてよかった。


途中にある御守りの販売所で、珍しく彼女の方から


「これ可愛い。これ欲しい。」


と言ってきたのでピンク色のランドセルがたの御守り(学業成就だけどまぁいいか。)を購入してあげた。


金閣寺の後は必殺ノープランだったので、どうしようかと悩んでいたが、寺ばかりまわるのもなーと思い、


「動物園いこうか?」

「私行った事ない!」

「ん?中国ない?」

「あるけど、私はない。」

「行きたい?」

「行きたい。」


で次は動物園に向かう。

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