生きている
昼間照っていた太陽も
夜の闇に追われつつ、
散りばめられた星たちと、
半分かけた月に光をたくして
眠りにつこうとしているのだろう。
薄暗い夜道
車2台がすれ違うだけの車道
当然歩道はない。
歩行者が確認しづらいT字路。
家路を急ぐ沢山の車。
危険な環境は整っていた。
自転車でT字路を横切ろうとした時
青いシエンタが
一時停止を守らず急に曲がって来た。
慌てて自転車のハンドルをきるも、
自転車ごとガードレールに激突した。
さいわい車にはあたらなかった。
すぐに振り向きその車を確認したが
何事も無かったかのように走り去っていった。
とりあえず落ち着いて、ガードレールから自転車のかごを足で蹴って抜いた。
そのひょうしで完全に横転した自転車を立てて急いで車の通りをはなれた。
慌てていたので気が付かなかったが、
どうやらガードレールに引っかけたらしく、手首から血がダラダラと流れていた。
周りに人はいないし、
薄暗く走る車から僕の事など分からないだろう。
とにかく近くの公園で手首を洗い。
血の割には傷が深く無いことを確認した。
少し血がおさまるのを公園のベンチで待った。
誰もいない夜の公園で
携帯電話のCMで流れていた曲を
呟くように口ずさむ
「いいことばかりじゃないからさー」
基本僕はポジティブだ。
この程度で済んで良かった。
ある意味生きている事を実感できた。
家族と言うものから逃げ出し
ただ毎日生きていた。
働いて寝るだけの繰返しでは
なんの為に生きているのかわからない。
もし彼女に出会わなかったら、
僕は今、ひかれて死んでもいいと思っていたかもしれない。
生きるというのは希望が必要だ。
それは僕にとっては同じ歩幅で歩ける人。
世間の目ばかり気にして
形ばかりにこだわる
作り者の夫婦や家族ではなく、
人と少し違ってもいいと
お互いを認めあって
自分を好きになれる。
そんな人と家族が作りたかった。
今の彼女は生きる希望だ。
でも僕は彼女を幸せにはできない。
養育費を払いながら、
彼女と家族を作る程の稼ぎもない。
そもそも彼女にその気はないと思うし、
彼女には彼氏がいて…。
悪い癖だ。
あーなったらどうしよう?とか
こんな事がおきたらどうしよう?なんて
考えてもどうにもならない未来について
不安を抱いて悩むのは
きっと意味のない事だと思う。
とにかく今は
今を生きるのだ。
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