その先になにが?
しかしスマホというやつは実に便利だ。
バイブルだけでは彼女との会話は難航していただろう。
そして他国間でもやり取り出来るアプリ。
しかもアプリないで翻訳もしてくれる。
電話は成立しなくても、ういしん のやり取りは成立する。
「おはよう」
「早」
「あなたいつ休み?」
「イマヤスミ」
「アナタはイマナニオスル?」
「学习。あなたは何をしてますか?」
少しだけ勉強中の言葉を使ってみる。
「我在吃饭😃」
ん?わからない。
とりあえず翻訳っと
ー私を食べてください。ー
????????!!!!!
はっ?まぢか?
いやいやなんかの間違えでしょう。
とりあえず返してみる
「私を食べてください?」
「はい。」
……………。
いやいやついこの間、彼女に求めているのは癒しと自己的に確認したところだし。
「あなたの事は好きだけど……。」
「ナニ?イミワカラナイ。」
「私はあなたに会える。嬉しい。」
一応分かりやすく、一文区切りでおくる。
「ソウ。」
案外素っ気ないんかい!
で後日彼女の家に行った時確認した。
スマホをみせながら
「これ意味なに?」
「ん?あー、ワタシはゴハンをタベマス。」
は?
そう翻訳は文法は無視だ。
単語だけ拾う。
だから、私、食べる
「だよね。勘違いした。」
「アナタはマチガエ、ナニ?」
「いや……あの……」
「ン?」
ここは正直に
「あなたを食べていいのかと思った。」
「なっ……。ぶっぶっしぇ」
焦りながら顔を真っ赤にする彼女も可愛い。
でもこの際自分の気持ちをはっきり言っておこう。なんて急に勢いづいてしまい
「あなたを抱き締めたいし、キスもしたい」
と言ってみる。
「ムリ。」
やっぱり即答。
「わかった。」
「手をつなぐオッケー?」
「アー。」
即答は悲しいけれど良しとしなければ。
「アナタはワタシとドウシタイ?ワタシケンシュウおわりクニにかえる。あなたワタシのクニにきますか?」
「いや行かない。」
離婚の事もあって、実際そういうわけにはいかない。
彼女は自分のスマホをだして、自分の思いを翻訳してみせた。
ーその先に何がある?ー
いや全くその通り。正論だ。ぐうの音もでない。「でも私あなたが好き。困った。」
苦笑い
「私はあなたといると癒やされる。
キスもハグも無しでいいからまた会ってくれる?」
微妙なニュアンスは伝えるのが難しい。
でもこの時は伝わったようだ。
「オッケー。」
「ありがとう」
その先に何もなくても、
今の僕には彼女が必要だ。
生きる目的がないと、
日々は刻々と過ぎていく
毎日仕事に追われ
時間に追われ
朝起きる 仕事する 帰る 寝る
この繰り返しでは、
いったい何の為に生きているというのだろう?
彼女に出会えた事は僕には大きい。
彼女がいなければ、
どこまで仕事に真面目に取り組めただろうか?
語学を独学で学ぼうと思っただろうか?
部屋の掃除もあまりしなかっただろう。
洗濯も今よりマメにしないだろう。
ひとり暮しの部屋はもっと雑然として、
毎日酒浸りで
好きなもの食べて、
太るだけ太って
健康にも気を使わず
服にも執着せずに
家では汚いジャージで毎日過ごす。
お金はその日暮しの…。
あらためて思う。
僕は、
いや人間は1人では生きて行けないのだと。
まわりに自分を見ている
自分の事を気にかけている
そういう人と人との繋がりが
人間社会を良くしている
そうして自身の人生を充実させて
自尊心は形成されていく。
生きる糧となる。
その先に何があるか?
きっと形のあるものは残らない。
でもこの恋愛も
人生の、自己を築く通過点として
彼女も僕も幸せになるのなら
意味のない時間なんてないはずだと思う。
我想…。
こういう話が彼女と出来れば良いのだけど。
恋愛哲学的な事は同じ日本人でもなかなか難しい。
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