人を好きになると、自分も変われるとおもいませんか?

「LINEて使ってる?」

「ナニ?」

スマホの画面を見せて、アプリを見せる。

「アー?」

彼女もスマホを手に違うアプリを見せる。

「それナニ?」

「ウィシン。わかる?」

とりあえず検索。

そういえば、中国人の同僚(彼は当然日本語が話せる。)が使っていたな。

迷わずダウンロード!

…失敗。

最近調子が悪い。というかスマホに変えてまだ日も短く、今一理解していない。


「だめ。調子悪い。またダウンロードする。」

「オッケー。」

こちらも失敗(;_;)


気がつけば夜中の1時をまわっていた。

「そろそろかえろうか?」

「ハイ。」

「お会計お願いいたします。」

  

当然彼女を家までおくる。

夜道は寒い。

「さむいー!」

「あー?サムイないよ。」

そういえば、この時期にしては彼女は薄着だ。

「ワタシのクニ、フユもっとサムイ。」

そう言うと彼女はスマホを取り出して自分の国の今の天気を表示した。

➖20℃…マジすっか?そりゃそれに比べれば全然寒くない。

「いや…やばいな。もっと寒い!」

「ニホン、さむくないよ。」て微笑む。

「家遠いの?」

「ワタシ今ドコワカラナイ。」

そりゃそうだな。会社の近くまで戻るしかなさそうだ。

少し歩きながら片言どうしで話すが、やはり雑踏と寒さでうまく話が聞き取れない。

どうにか会社の近くまで戻り彼女の家まで送り届けたが、着いてみたら居酒屋から歩いて10分ほどのところだった。

家の前まで送り、彼女が何かを言っていたが、聞き取れなかった。

やはり言葉の壁は高い。


「今日は来てくれてありがとう。また誘っていいかな?」ゆっくり彼女にもわかるように話す。

ニッコリしながら、

「オッケー!」

「ありがとう。じゃーまたね。バイバイ」

「バイバイ」

こうして初めてのデートは終わった。

まぁわりと好印象に思ってくれたのかな?

ただ課題はやはり言葉。

もっと彼女の事を知りたいし、

自分の事を聞いてほしい。


次の休みには当然携帯ショップにいき、ワイハイ環境が良くない事を確認。家で再度チャレンジするも、また失敗。

 再びショップへ。

近隣にYmobileショップがなく、車もないので電車で二駅の行き来。

ようやく翻訳アプリとウィシンをダウンロード。

時代に着いていけないと、女の子とも遊びに行けない。

 というか、今まで関心無さすぎたのかもしれない。まわりがスマホに変えても、自分はいいやと思っていたし何せ嫁さんに支配されていた。

自分のやりたい事はことごとく批判されてきた。


 僕は料理をするのが好きだ。

元は調理師だし。

しかし、家での料理はやめてほしいと言われた。

僕はこれでも、作るだけではなく後片付けもちゃんとやる。

食後の食器洗いもわりと好きだ。


しかし彼女に言わせると、台所は女のテリトリーだから、入ってきて欲しくないらしい。


 マンガを読むのが趣味だった。


大人がマンガを読むのはおかしいと言われた。

自分の大事していたマンガも置く場所がないからと捨てるように強要された。(彼女いわく私は捨てて欲しいと言っだけで捨てたのはあなた。だそうだ。)好きな事を勝手にできるほど小遣いもない。

 

 小説を読むのも好きだ。自分と違う世界観に入り込んで共感できる。図書館で借りればお金もかからない。


嫁は図書館も嫌いだった。いろんな人が触った本は汚い。

 借りるにしても、小説ばかり読んでないでもっと自分を磨く本を読んだら?家族の事、子どもの事考えてよ。もっと現実を見てよ。あなたはそんなんだから、大した仕事につけないんと違う?


当然幾度もなく揉めた。でも彼女は決して引かなかった。彼女は自分の考えを変えようとしない。


そうして僕は彼女に自分の考えを伝えるのをやめてしまった。

同時に自尊心も無くしてしまった。


良いか悪いか、

おかしいかおかしくないか?

そうではなくて、

いろんな人間がいて、

いろんな考えがあって、

いろいろな文化があって、

いろいろな人種がいて

それで世界が

人間が成り立っている事をわかっていない。


 それは彼女が、マンガも小説も読めないつまらない人だからだと思う。


当然そういう人間もいるという事だろう。


まぁとにもかくにも僕は燕ちゃんと出会って、少し自分らしさを取り戻しつつある。

世の中にも何とかついて行きたい。


恋とは下心。

しかしながら人間を変える力がある。

などと思いながら、今日も燕ちゃんにウィシン!


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