夫婦をこえていけー

 考えてみたら、デートらしいデートなんて何年ぶりだろうか?

どの服を来ていこうか?髪形大丈夫かな?ちょっと香水つけていこうかなー。なんて考えるのも楽しい。やはりいつまでも若くいる為には、恋は必須なわけだ。

星野源の曲を口づさみながら、出かける用意をしていた。

「ゆーびのふふん、ふふふふふふんっ夫婦を越えていけー……。」

 夫婦か…考えてみたらまだ離婚成立前なので、不倫になるのかな?ってただご飯食べに行くだけだし。

ゲスではないよね?ベッキー?

って明らかに僕テンション高いでしょう。

これで来なかったらとんだピエロだな。

そう思いながらも完全に浮かれている。

そうして僕は会社に向かった。

伝わっているかな?駐輪場?



 予定通り5分前に到着した。燕ちゃんはきていなかった。そして幸いにも、誰も駐輪場にいない。仕事休みのくせにこんなところにいたら明らかにあやしいし、とにかく少し離れたところで物陰に隠れて彼女を待とう。そう思いながら振り返ったら、若い女の子が立っていた。

燕ちゃんだった!

私服姿初めてみた。

いやー…めちゃくちゃ可愛いし。

って見とれてる場合じゃないわ。

「おぅ!」とかいって平常心保ってるふり

「ああ」と一応あいさつかな?

というか、早くこの場を離れないと

「行こうか。」

黙って頷いてついてくる。

すぐ横の車道を何台も車が行き交う。

ただでさえ会話が成立しないのに、言葉の行き来も当然少ない。なんとか会社の近くを離れたところで、

「歩いてきたの?」

「ああ」

「家近い?」

「ちかいない」と言いながらスマホの画面をみせてくるた。吉浜2丁目……ってまぁまぁ遠いなー。

「まぁまぁ遠いな。今日自転車は?」

「じてんしゃ、さむい。」

「いや歩きも一緒でしょう。嫌いな食べ物ある?」「はぁ?」んーなんて言えばいいのかな。

「焼鳥オッケー?」ジェスチャーつきでどうだ?

「あー。」反応うっすー!

「よし行こうか」

そういえば、駐輪場伝わっていたな。

しかし可愛い。思ってた以上に可愛い。普段仕事場では頭にかぶりのマスク姿だから、ほぼ目しか見えない。だから、顔は半分は僕の妄想で想像だった。それでも十分可愛いと思ったのに、想像を完全に越えていた。

 あまり彼女が気構えないように居酒屋を選んだ。

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