転機はいつも雨、燕は低空から空を舞う

彼女の家をでてどれくらいたっただろうか?僕の勤め先は、ヨーロッパとの取引が多くユーロでの取引がされていた。リーマンショックに加えて変わりゆく世の中の流れに、取り残され事業の縮小にさいなまれていた。

 仕事が少なくなっていき、養育費を払う生活に不安を抱え、働き盛りの中年の僕は転職を試みる事にした。

 何度か転職をしているが、いつも行き当たりばったり。年齢的に最後のチャンスにしたかった。

 新しい環境。良くも悪くも失われた自尊心を取り戻すのに必死で働いた。

 春の風はまだ吹かないけれど、雨の匂いを感じた燕が目の前を通り過ぎていった。

 上空に向かい飛び去る燕を僕は、目で追っていた。

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