第3話 「○○○年 数式」

 ユキは自分の家が嫌いだった。第一求められることが大きすぎて疲れる。だからはやめに家を出て都心で働く事に決めた。


 「明日の午後2時にまでに登録お願いしますm(_ _)m」

会社でわりふられる個人のパスワード登録の期限がきれていたことを思い出してユキはメールを開く。そのままリンクを開いて登録しておく。そんな事より時間がない。はやめに数式を入力しなければ、次のサイトは開かない手筈になっている。だがユキはあまり期待していなかった。そもそも会社にある「レコーダー」は旧式だからだ。


 だから目的の時間までに到達できるかは、可能性が低い。特に平社員として扱われているユキの持つ数式では与えられる時間が非常に少ないのだ。

 時間を有効に使うためには、自分の時間と他人の時間を入れ替えるしかない。その為ユキは他人のフリをして会社のサイトに侵入していた。

 ユキの会社は、1997年以降別の時間から送り込まれている「レコーダー」を複写して、他人の時間を管理している。因みに支持自体は2015年初頭から公安から出ていた。


 簡単にいえば、他人の生きる時間に介入して「パラドックス」を阻止するのが、「定時管理人」の役目である。

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