第1話 「2017年 昨日の夜」

 大体全てが気に入らない。

彼女は怒っていた。今日のクライアントに対してのミスは私の責任ではない。また誰かが押し付けたのだ。

 ミスの内容は期日に遅れた事による契約の変更だが、そもそも彼女は期日にしろ時間にしろ遅れたことがない。皆知ってるはずなのに…と彼女の足取りは重かった。

 彼女は時間に、厳しい人間だ。毎回約束の時間の20分前には到着し人を待つ。レポートやら宿題はできるだけその日の内に終らせ直ぐに提出する。今回の数字計上の書類はグループ内でも一番はやくリーダーに渡した。リーダーの不備だ。私じゃない。

 地下鉄の駅から降りて自宅まで徒歩3分の距離。彼女はとんでもない光景を目にした。


 男の子が公園で首をつろうとしていた。

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