【番外】魔王とチョコレート


アーサー「今日はバレンタインか。」

ツバキ「お父様、バレンタインってなんですか?」

アーサー「ん?あぁ、この世界にはないのか。」

ツバキ「?」

 ツバキがキョトンとした顔で首をかしげる。

アーサー「んんっ、あー、バレンタインと言うのはだな、私の生まれ育った国にあった行事で、女の子が好きな男の子にチョコレートをプレゼントする日なんだ。」

ツバキ「チョコレートをですか?」

アーサー「あぁ、この日に多くの学生たちが思いを伝え合うんだ。」

 そしてカップルが校内にチラホラと…リア充爆発しろ。

ツバキ「好きな…男の子に…」

 え?なに?ツバキちゃん頬を赤らめて可愛らしい。え?なに?いるの?ツバキちゃんいるの?もうそういう子いるの?ねぇ?いるの?お父さん心配。なんかもやもやする。これあれか、よくある、お前のようなやからに娘はやれん。的な気持ちか。

アーサー「ツ、ツバキはあげたりしたい人がいるのか?」

ツバキ「ふふっ、内緒です!」

 可愛すぎかぁ、満面の笑みで内緒ですとか可愛すぎかぁ。

ツバキ「では、失礼します。」

 そういうと、膝の上に乗っていたツバキは、何処かへ行ってしまった。

 悲しいかな。




ツバキ「みんな!あつまって!」

レイ「いきなりどうしたんですか?」

ツバキ「チョコレートを作るんです。」

レナ「チョコレートですか?」

ツバキ「今日はバレンタインと言って、好きな殿方にチョコレートをプレゼントする日なんだそうです。」

フレイ「あっ!だったら!」

ルカ「図書室でお菓子づくりの本探してきますね!」




アーサー「さて、夕食の仕込みでも、」

 キッチンの扉に立ち入り禁止の張り紙が。

アーサー「えぇ⁉︎あの子達かな?」




ツバキ「チョコレートを溶かして。」

フレイ「型に流して。」

ルカ「トッピングをして。」

レイ「冷蔵庫で。」

レナ「冷やして完成。」




アーサー「まったく、クイーンさんまた仕事押し付けて、まぁ服の件があるから首を横に振れないのだが、」

 コンッコンッ!

アーサー「ん?はいれ。」

レナ「あの、お父さんこれ!」

アーサー「ん?なんだこれは?」

フレイ「開けてみてください!」

 小さな包みをあけると、個性豊かなトッピングの五つのチョコレートが入っていた。


5人「せーのっ!お父さん!ハッピーバレンタイン!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る