閑話 蓮村胡麦の日常
机に向かって鉛筆を動かしていく。最近は殆どペンタブで描いていたからアナログは久しぶりだ。一枚絵が描きたくなって、朝からこうして1時間以上が経っていた。
「ぐふっ……ふふふ」
絵を描きながら胡麦は堪えきれない笑い声を漏らす。イヤホンで聞いているのはもちろん、貯めに貯めた八尋の声だ。
音質は愚か、音量もセリフによってバラバラ。しかし洗練されたセレクトにより胡麦のテンションは有頂天だった。
「……っくぅぅぅ、心臓がぁ!!♡」
座ったまま足をバタバタさせる。このままでは心臓発作が起きる、と胡麦は1度音源を止めた。
「はぁ、今頃先輩何してるんだろう?」
なんとなく顔を上に上げる。
八尋はSNSをあまりやらない為、胡麦のストーキング能力ももインターネット上ではあまり役に立たない。
スマホで画像フォルダを開く。この前撮った、2ショット写真を取り出した。
「……よし、もうひと頑張りっ!」
胡麦は写真に向かって気合を入れ直すとスマホをオフにして再び机に向かった。
そして音源の再生ボタンを押す。
「……ふふふっ」
ああ、もう堪らない!!
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