第17話 別れ再び

亜希子と歩は息を切らしながら走る。体育館に続く廊下を抜け校舎内へと入った。2人が廊下の曲がり角を曲がる。曲がったすぐのところで、3人の女子生徒が4人いる男子生徒に犯されていた。それを見て足を止める。


「あ、亜希ちゃん!た、助けて…」


1人の女子生徒が亜希子の名前を呼ぶ。亜希子のクラスメイトだった。助けたかったが今行ったら亜希子と歩の身も危ない。するとその時、1人と男子生徒がこちらを見た。そして2人に向けて走り出した。亜希子と歩はそれを見て逃げ出した。


近くにあった階段を2段飛ばしで上る。男子生徒はまだ2人を追っている。階段を上りきり2人は曲がり角を曲がる。その時、歩が走るのをやめた。


「歩ちゃん!何してるの!捕まっちゃうよ?」


「ちょっとだけイライラ解消していい?」歩がそう言い曲がり角の方を向いた。手を握り、握りこぶしを作る歩。イライラというよりも怒りの方が強い。体育館倉庫であった事をこの男子生徒に八つ当たりするつもりだった。





曲がり角から追いかけてきた男子生徒が来る。それを見て歩が拳を思い切り前へとやった。ドンピシャのタイミングで歩の拳は男子生徒の顔面に直撃した。鈍い音が響き、その男子生徒は倒れた。



「亜希、行こっか」何食わぬ顔でそういう歩。微笑んだ顔が怖い。



「う、うん。わかった」


亜希子は若干、歩に恐怖を感じていた。マジでキレたらこうなってしまう、それを忘れない事を心に誓った亜希子。


2人は廊下を走り、逃げ続けた。












純也が廊下を歩く。体育館に続く廊下を行き、なんとなく近くにあった階段を上って行った。階段の踊り場を通り再び階段を上る。上りきった先に、男子生徒が倒れていた。歩がやった事を純也は知る由もない。




「あいつら…ここ通ったな」男子生徒の横を通り過ぎ、純也が2人の逃げた廊下を歩く。途中曲がり角があったがそこは曲がっていないと思い、純也が真っ直ぐに廊下を進む。実際に、亜希子と歩はその曲がり角を曲がらず真っ直ぐ進んでいた。


純也も2人が進んだ道を歩いていた。













「あの人、来てない?」


「うん…来てないよ。少し休憩しよっか」


2人は空き教室に逃げ込んでいた。走ったせいもありかなり疲れている。深呼吸をして呼吸を整えた。廊下側の机にそれぞれ座っていた。2人は会話を続けていた。




「あ、あのぉー…」知らない人の声が2人の耳に入った。2人がその声の方を見た。そこにはオタクっぽい男子生徒2人。微笑みながら亜希子と歩を見ていた。



「あ…あはは…こんにちは〜……」


「いつから…いたの」



亜希子が口元は笑っていたが、目は笑っていない状態でその男子生徒2人に手を振る。


「ずっといたけど…」


「いつ気づくかな〜って思って見てた」


と男子が2人が言った。


「そ、そうなんですねぇ〜。あはは……」それを亜希子が言い、亜希子と歩はほぼ同時に逃げた出した。オタクっぽい男子生徒2人も2人を追いかけた。ドアを抜け2人が廊下を走る。オタクっぽい男子生徒2人も追ってくる。オタクっぽいのに無駄に足が速い。人は見かけによらない、それを痛感した2人だった。女子2人が廊下の交差する部分に近づく。


「どうしよう?歩ちゃん」


「べ、別々になろ。それの方が逃げられるかも…!」


2人が走りながら話す。2人は別々に行動する事に決めた。女子2人が廊下の交差する付近に近づいた。



「亜希、後で合流しよ…!絶対逃げ切ってね…私も絶対に逃げ切るから…!」


歩がそう言った。亜希子が頷く。そして2人が廊下の交差するところに差し掛かる。亜希子は右へ、歩は左へと逃げた。亜希子は純也が歩いて来ている方向に逃げてしまった。後ろからはオタクっぽい男子生徒2人内のの1人が亜希子を追いかけていている。



亜希子は必死に走る。


歩も必死に走って男子に捕まりまいと、廊下を走っている。





まもなく、鬼ごっこ開始から7時間が経過しようとしている。


300人の男子生徒は残りの女子生徒を必死に探す。ある女子生徒のグループ(50人)が空き教室に立て籠もる計画を立て、それを実行した。男子生徒もその噂を聞きその空き教室の周りに来ていた。しかしその立て籠りも長くは続かなかった。鍵で閉められた教室のドアがラグビー部のタックルによって簡単に壊された。男子生徒がどっと空き教室に入っていった。そして、立て籠もっていた女子生徒50人は犯されてしまった。教室の中はカオス状態だった。




女子生徒、残り 35人。



鬼ごっこ終了まで残り1時間だ。

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