理緒とおにゃんこさん 2


5月の終わり。梅雨のような天気が続いている。

学校が、午前で終わり帰ってきた理緒は、リビングから外を見ながらおにゃんこさんに、話かける。


「 よく降るね雨。 おにゃんこさん、退屈じゃない? 外で遊べないから。」

「 んななん。」

「 全然退屈じゃない。あっそう 」

「 んなな。んな。」

「こんな日は、お昼寝。しょっちゅう寝てるくせに、何言ってんだよ。」

「 んな。んななん。」

「 理緒もお昼寝しよ? 残念。俺、今から宿題あるもん。おにゃんこさん、一人で寝てな。」

「 んなーん。」


理緒は、自分の部屋に行く。

おにゃんこさんもついてくるが、理緒のベッドで眠るつもりでいるらしい。


「 おにゃんこさん。寝るの待って。おにゃんこさんの毛付いたら掃除大変なんだよ。おにゃんこさん用のバスタオル敷くから。」

「 んなー」



理緒は、ベッドの脇に置いてあるかごから、バスタオルを出しておにゃんこさんの寝場所に敷いた。


「 はい、どうぞ。」

「 んなん。」


おにゃんこさんは、待ってましたとばかりにベッドに飛び乗るとすぐに、丸くなって寝始めた。


「 猫は、いいな。お昼寝出来て。さて、宿題するかな。」


理緒は、机に向かう。出された宿題は、数学と社会それと英語だった。


「 やっぱり、嫌いな教科からやりますかね。」


そう言って、社会のプリントと教科書を出して宿題をやり始めた。


数時間後、休憩を挟みつつ全部宿題を終えた理緒。

部屋の窓から外を見ると、すっかり雨は止んでいた。

雨が降っていた為、閉めていた窓を開ける。

外から少しひんやりとした風が入ってくる。


「 あー気持ちいい。」


理緒は背伸びしながら、思わずそんな事を言う。


「 そいや、おにゃんこさんはどうしてるっていない。下に降りた?」



理緒は、おにゃんこさんを探しに一階へ降りる。


「 おにゃんこさん? どこ?」


理緒はおにゃんこさんを呼びながら、リビングやご飯置き場を覗く。


「 後は、外?」


理緒は、玄関のほうを見た。

林原家の玄関には、人間用のドア脇におにゃんこさん用のドアが作ってある。

おにゃんこさんが、頭で押したら開くというスンイング式の猫のドアである。

そのドアから、出て遊びに行ってるに違いない。

理緒はそう思い、靴を履いて外に出る。

案の定、家の前の道路で、ゴロンゴロンとおにゃんこさんは、転がっていた。


「 おにゃんこさん。何やってんの。そんな事したらお家の中入れないでしょ。」

「 んなん。んなー」


理緒は外で遊び足りないと、抗議の鳴き声をあげるおにゃんこさんを抱っこして、玄関まで連れて入る。


「 あー身体中砂つけて〜しかも、あんよ泥だらけじゃないか。」


理緒は玄関に置いてあるペット用のウェットティッシュでおにゃんこさんを拭く。


「 んなあ、んなな。んなー」


おにゃんこさんは、身を捩らせて理緒の腕の中から脱出を試みるが、しっかりと理緒が抱いてるので脱出出来ない。


「 もうー動かないでよ。仕方ないじゃないか。砂まみれ泥だらけで、お家に入れないの。おにゃんこさんが掃除するわけじゃないでしょ。おにゃんこさんが、床を砂だらけにしたら掃除すんの俺なの。だから、キレイにフキフキしなきゃ。」

「 んー。」


おにゃんこさんは、仕方ないなーという感じで鳴くと大人しくなった。


「 はい、終わり。」

「 んなん。」


理緒はおにゃんこさんを解放すると自分の服についた泥や砂を外で落としてから、家に入る。


リビングに向かうと、隅でおにゃんこさんが毛繕いをしていた。


「 なんか、疲れた。俺、ちょっと寝てくるから、おにゃんこさん晩ごはんになったら起こしてね。」


理緒は、そう言って自分の部屋に戻る。

暫くして、おにゃんこさんも理緒の部屋に行ってそのまま、理緒の側でねてしまった。



「 理緒ちゃん。ご飯よ。あら、寝てる。おにゃんこさんも一緒ね。なんか、可愛い。写真撮っちゃお。」



香苗はそう言って、スマホで写真を撮った。

後日、香苗は、SNSに理緒とおにゃんこさんの寝姿をアップしたの事を理緒に怒られたのは、別の話である。


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