第18話 18 可愛いは、正義。
「 昨日は、どうだった?」
杏子が、ニヤニヤしながら訊いてくる。
「 どうもこうも、涼が抱き付いて恥ずかしかったよ。」
「 ほおお、そりゃよかったですな。」
「 よかったって、何がいいの。本当に、恥ずかしかったし。困ったんだよ。どう、反応していいか。」
「 そう、言ってるわりには、顔がにやけてるよ。」
「 っ!? マジで。そんなに、にやけてる?」
「 うん。気になるなら、トイレの鏡で確かめて、おいで。」
「 行ってくる。」
理緒は、トテトテと教室から出ていった。
そんな、理緒を杏子は、見ながら悶々としていた。
( はあ〜可愛い。小さいし。目は、クリクリしてるし。……相手が、桜庭というのが、気に入らないけど、まあいいわ。)
杏子は、常日頃から、可愛い女の子とイケメンの恋愛を観察するというとんでもない夢を持っていた。
今現在、理緒と涼の恋愛の観察に勤しんでいる最中である。
杏子にとって、可愛い女の子は、小さくて 目がクリクリしてるという事が条件だった。
そういう意味では、理緒は、合格だった。
しかし、肝心の相手は長年腐れ縁の桜庭涼。
杏子にしてみれば、涼は、イケメンとは程遠い。
ごく普通の少年である。
杏子にとって、イケメンとは、ジャ○ーズのアイドルの様なキラキラしたオーラを纏った人間なのである。
はっきり言って、そんな人間は、なかなかいない。
「 杏子、戻ったよ。言ってた通り俺の顔にやけてたよ。どおりで、母さんが変な顔してたんだ。」
理緒は、そんな事を言いながら杏子の所へ戻ってくる。
「 今も、少しにやけてる。えーい。この幸せな奴め。その幸せをわけろ。」
杏子は、そう言って、今日も理緒に抱き付いた。
「 んも〜なんで、抱き付いてくるの? 」
「 だって、可愛いは、正義なんだもん。」
「 意味わかんないよ。」
そう言って、理緒は、杏子の腕から逃れた。
杏子は、理緒 を見ながらやっぱり、可愛いは、正義よね。と思った。
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