第14話 告白の答え

14 告白の答え



「 あんな事言ったけど、どうしたらいいかね。」


理緒は、涼が帰った後、部屋のベッドでゴロゴロしながら、告白の答えを考えていた。


「 お兄ちゃんに、相談しようかな。」


理緒は、ベッドから起きて部屋を出ると、隣の拓人の部屋に、向かう。

ノックしようとすると、中から拓人の声が、聞こえる。


「 ……何度も、言ってるだろ。僕に、かまうなって。」


いつも穏やかな拓人が、若干イラついた声で、誰かと話していた。


( 誰と、話してるんだろ? )


理緒は、ドアに耳を押し付ける。後ろめたさ半分で、拓人の会話を聞く。


「 ああ、しつこい。切るぞもう。」


拓人の声が、途切れると同時にポスンと何を投げつける音がした。

理緒は、ドアからそっと耳を離して拓人の部屋の前から、立ち去ろうとしたら、勢いよく、部屋のドアが、開いた。


「 理緒、どうしたんだよ? そこに、突っ立って。」

「 いや、相談したい事が、あるから来たんだけど。いいや。」


盗み聞きしてた後ろめたさから、理緒は部屋に、戻ろうと踵を返した。


「 もしかして、さっきの聞いてたとか?」

「 はい。 聞いてました。ごめんなさい。」


理緒は、素直に白状した。出来心とは、いえ盗み聞きしてたので。


「 別に、いいけどな。それより、相談ってなんだよ? 」

「 うん。 ちょっとね。」

「 もしかして、告白されたとか? 」

「 なんで、わかるんだよ。俺、何も言ってないよ。」


理緒は、思わず大声で怒鳴ってしまう。


「 そんな、デカイ声出すなよ。適当に言ったなのに、本当に、告白されたのかよ。」

「 うん。涼に、今日。」

「 へー。まあ、部屋に入れよ。母さんが、嗅ぎ付けたら大変だからな。」


そう言うと、拓人は理緒を自分の部屋に、連れて入る。


「 で、返事はどうした?」

「 保留。 俺が、涼の事友達として好きなのか、男の子として好きなのか。わからないから、明日まで、待ってもらってる。」

「 そうか。なあ、理緒。その涼くんって、最近よく、話に、出てくる涼くんか?」

「 ああ、うん。 」


理緒は、拓人の質問に頷く。


「 理緒、いくつか、質問するけどいいか?」

「うん。」

「 理緒は、涼くんと話してて、楽しいか?」

「 楽しいよ。」

「 じゃあさ、自分以外の女子と楽しそうに話してるの見て、なんか、ムカついたりしないか? 」

「 そういえば、あるムカついたり、自分以外と話ないでよ。って思った事あるかも。」

「 なら、答えは、もう出てるじゃないか。」

「 どういう事?」


理緒は、拓人の言ってる事の意味が、分からず訊き返していた。


「 だから、理緒お前は、涼くんの事友達として好きなんじゃなくて、一人の男の子として好きなんだよ。」


理緒は、拓人にはっきりと言われた瞬間、顔が、恥ずかしさで熱くなった。


「 明日、涼に、そう言わなくちゃいけないの?」

「 何故、疑問系なんだよ。言えば、いいじゃないか。」

「 あう。でも。」


理緒は、頭を抱えて、暫くうなっていた。



翌日、理緒は、涼に電話で告白の答えを伝えた。


「 その、俺も好きです。」


勢いよく理緒が、言って数秒後。


「 やったー ありがとう理緒。じゃあ。明日、学校で。」


涼は、それだけ言うと、電話を切ってしまった。


翌日、 学校で顔を合わせた二人の間に、ビミョーな空気が流れたのは、別な話である。



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