第12話おにゃんこさんは、恋のキューピッド?前編

熱で学校を休んだ次の日、学校へ行くと理緒は、涼を見つけると、突進するように駆け寄る。


「 うお、理緒なんだよ、びっくりするじゃん。」

「 昨日のお礼言いたくて、あと、お詫び。」

「 お礼は、ともかくお詫びって何? 」

「 お兄ちゃんが、無理やり家に入れて困ったんじゃない? あと、俺のお願いとかさ。」


理緒は、首をかしげて言う。


「 いや、別に。 困ってないよ。」

「 本当? 」

「うん。本当 」

「 よかった。 本当に、昨日はありがとう。」


にぱっと、明るい笑顔で理緒は、お礼を言った。


( あー可愛い。もっと、この笑顔みていたい。)


涼は、ぼーっと理緒の笑顔に見とれていた。


「 じゃあ、俺、もう行くよ。杏子に、昨日のノート見せてもらうから。」


がし、涼は、理緒の一言に反応して思わず、理緒の腕を握っていた。


「 ノートなら、おれが見せてやるよ。」

「 えー 悪いからいいよ。 」

「 えと、 そう、理緒の家の猫見に行きたいな。」

「 おにゃんこさんに、会いたいの?なら、今日の放課後うちに来る?」

「 今日は、無理なんだよ。部活があるから、明日じゃ、駄目か?」

「 いいよ。明日土曜日だし。」

「 よし、じゃ明日な。」

「うん。」



翌日、理緒は部屋の掃除を済ませて、涼を待っていた。

いつも、家の中では、兄のお下がりの服を部屋着として着ているが、今日は、涼が来るので、白いロゴTシャツに、グレーのキュロットをあわせた。キュロットは、フレアスカートのようなフワッとしたデザインである。


約束の10時前に、インタホンの音が鳴る。

理緒が、玄関を開けると涼が立っていた。


「 お早う。涼。」

「お早う。理緒。」

「 なんか、緊張してない?」

「 当たり前だよ。女の子の家にくるんだから。」

「 そういうもん?」

「 色々、あるんだよ。」

「 理緒ちゃん。何やってるの。早く上がってもらいなさい。」

「 はじめまして、おれ桜庭涼と言います。」

「 そんなに、畏まらなくてもいいわよ。さっ上がってちょうだいな。」

「 お邪魔します。」


涼は、緊張した様子で、家にあがると、おにゃんこさんが、涼の足にまとわりつく。


「んなな。んなーん。」

「 おにゃんこさんだっけ?今日は。」


涼は、慣れた手つきで、おにゃんこさんを撫でる。

おにゃんこさんは、ゴロゴロと喉をならしてご機嫌である。


「 桜庭くんは、猫が好きなの?」

「 はい、家で、二匹飼ってます。」

「あら、そう。うちの理緒も猫大好きなのよ。」

「 はあ、」

「 お母さん。余計な事言わないでよ。涼、俺の部屋に行こう。」

「 ああ。」

「 おにゃんこさん。おいで。」

「んなな。(了解 )」


理緒は、涼とおにゃんこさんを連れて、自室に行った。



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