第11話 実はね。

理緒は、涼にどう話そうか一晩中考えていた。


( まあ、普通は、異世界からやって来ました。なんて言っても信じないよな。)


なんとなく、起きるのがダルくてベッドの中で、ウダウダとしてたいた。枕元に置いた携帯で、時間を確かめると6時半になっている。そろそろ、起きて準備しないと遅刻する。でも、起きる気にならない。


「 お〜い。理緒、早くしないと学校遅れるぞ。」

部屋の外から、拓人が呼ぶ声がする。

理緒は、ノロノロと体を起こしベッドから出る。

パジャマのまま部屋から出ると、拓人がいた。


「おはよ。」

「やっと、起きたか、理緒。ってお前、顔赤いぞ。」


拓人は、理緒のおでこに触れる。


「 熱があるじゃないか、もう昨日遅くまで起きてるからだ。ほら、ベッドに戻れ。」

「 えー 平気だってば。」

「 駄目だ。命令。」

「 お兄ちゃんの意地悪。」

「 なんとでも、言え。母さん。理緒、熱がある。体温計どこだっけ?」


拓人は、大声で香苗に、体温計の行方を訊きながら、理緒をベッドまで、引っ張る。


「 横になってろ。体温計持ってくるから。」

「 はーい。」


理緒は、仕方なくベッドに戻る。


「 理緒ちゃん。体温計持ってきたから測って。」

「 うん。」


理緒は、香苗から渡された体温計を脇に挟む。

しばらくして、体温計を香苗に渡す。


「 38.5℃。思ったより高いわね。学校休まなきゃ。」

「 わかった。」


( 涼に話しときたいのに、これじゃ無理じゃないか)


理緒は、ベッドの中で、そんな事を考えなから眠りについた。




夕方、涼は、林原家の前でうろうろしていた。

昨日、理緒から話しがあるから、家に来てとメールが、あったが、熱で学校を休んだ人間のとこに行くのも、どうかと思った。

けれど、杏子から理緒に、プリントを渡す

よう命令された以上行かない訳には、いかない。


「 あれ? 理緒の友達か?」


涼が、意を消して林原家のインタホンを、ならそうとしてたいたら、少年に声をかけられた。


「 そうです。おれ、桜庭 涼と言います。

理緒さんのお見舞いに来ました。」

「 あれ?じゃ、君が噂の涼くんか。理緒が、よく君の話してる。 そっか。理緒の奴の相談にのってくれると助かるんだよな。だから、顔みてやって。」

「 えぇ?!」


涼は、引っ張っられるまま、林原家にあがった。


「 寝てるかもしれないけど 」

「はあ。」


涼は、仕方なく理緒の部屋に入る。


「 お邪魔します。」


涼は、そっと入る。理緒の寝ているベッドの隅で、この前、見た猫が一緒に寝ていたが、急に起きて。


「んなな、んなん。んなー。」


わざと、理緒を起こすように、大声で鳴いた。

理緒は、もぞもぞと動く。


「 おにゃんこさん。煩い。寝かせてよ。って、涼、なんで、いるの?」

「 お兄さん? に無理やり入れらたんだよ。」

「 お兄ちゃんてば、もう。」

「 なんか、悩みでもあるの?相談にのってくれると助かるとか言ってたけど。」

「あ、うん。あのさ、馬鹿にしないで聞いてくれる?」

「 うん。」


涼は、頷いた。


「 俺さ、異世界から来たんだよね。」

「えーと、ごめん。理緒は、小説とかでよくある異世界トリップとかってやつで来たって言いたいの?」

「 まあ、そういう事。」

「 そう、そのまま、話続けてくれる?」

「 うん。」


理緒は、日本にトリップしてきた経緯を全て、涼に話した。


「 うーん。普通なら、信じないんだけどな。」

「やっぱり? 」

「 誰も、信じないとは、言ってないだろ。笑うかもしれないけどな。理緒が、どっか知らない世界から来たんじゃないかって思ってたの。本当だったから、おれ的には、嬉しいの。」

「 へー。でも、俺、元男だよ。それでも、いいの?」

「 別に、どうでもいいよ。」

「 あっそ。俺、寝るから」

「 じゃ、帰るな。お大事に!」


涼は、持ってきたプリントを机に置くと、手を振って出ていった。



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