第8話 8 恥ずかしい事件




その事件は、ある日の昼休みに起きた。


給食も終わり、それぞれ思い思いに過ごしていた。


理緒も、杏子と他愛のないおしゃべりをしていた。


「 変な事訊くけど、理緒は、くすぐったいの平気?」

「平気だと思うけど。なんで?」

「いやーちょっと、理緒が擽られるのに、どのくらい、耐えらるか実験したくてねぇ。」


杏子は、両手をわきわきしながら言う。


「ふーん。実験してみればいいじゃないか。俺は、平気だから。」

「へーじゃ。ほりゃ、コショコショ」

「 うひゃひゃ。やめてやめて 杏子。」

「 いーや。まだまだー」



理緒は、足をバタバタとしながら暴れる。

杏子は、理緒の反応が、面白くて益々、くすぐった。

理緒は、杏子の魔の手から逃れようと、身をよじらせた瞬間。


ガッターン! 理緒は、座っていた椅子ごとひっくり返る。

教室は、一瞬シーンとなるが次の瞬間。



「 うっひょー」「 ひゃー 林原さん。早く起きて〜」


同時に、男子の歓喜の悲鳴と慌てる女子の悲鳴が、理緒の耳に届く。


「 林原のパンツ丸見え。」


一人の男子が、そう言うのが、聞こえる。

他の男子も色々、好きな事を言ってるのが、聞こえる。


( あー穴があったら入りたい。)


理緒は、そんな事を思いながらノロノロと起きてスカートを直す。

泣きたい気分で、椅子を元に戻す。


「 なんだよ。もう。隠すのかよ。」

「そうだ。」

「何言ってるのよ。バカ男子。」


無神経な男子の発言に、怒る女子達。

理緒は、クラスメイトの前で、パンツを見らるという失態を、おこしたあとで、何かを言う気になれず、机に伏せる。


「 お前ら、いい加減にしろ! 」


涼が、怒鳴り声を上げた。

シンとなった教室を歩いて、理緒の元にくる。


「理緒。頭とか打ってないか?」


優しく涼に、訊かれて理緒は、頭を起こして、こくこく頷く。


「 やれやれ、これに懲りて、悪ふざけは辞める事だな。」


理緒は、再びこくこく頷いた。

涼は、苦笑いしながら頭をぽんぽんする。


「 理緒は、ドジなお姫様だな。」

「 はあ、お姫様って何?」


理緒は、ガバリと起きて涼に訊く。


「 別に、深い意味は、ないね。」


涼は、手をポケットに入れて、へたくそな口笛を吹きながら、教室から出ていく。


「 ねぇ、教えろってば。涼。」



理緒は、涼のあとを追いかける。

クラスメイトは、ポカーンと二人のやり取りを見ていた。


「 なんなの?あいつら 」

「さあ?」


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