第2話 くるまを乗りかえる生活


 高校3年の夏、初めて彼氏ができた。かっこよく自慢の彼氏だった。世界が変わった。勉強なんてそっちのけで彼氏と体をくっつけていられればいい。そんな女になっていた。相手のすべて私のもの。携帯は常にチェックしていた。成績はどんどん下がっていたが気にしなかった。カンニングやレポートの丸写しにも抵抗を感じなくなっていた。とにかく彼氏が全て。常に一緒にいれればそれだけでいい。中身のない女のできあがりです。

 その彼氏とは3年付き合った。別れた理由は彼が大学進学を機に遠距離になり、連絡がマメでない彼に耐えられず、近くにいる可愛い後輩と仲良くなっちゃったから。手っ取り早くセックスできる手頃な相手が欲しかった。二股の期間もあって、元彼の横で後輩の名前を寝言で言ってた。後輩と付き合うためにお金が必要だったからスナックでバイトした。可愛くない私でも若いってだけでちやほやしてくれて、時給も1500円。私はここを天国だと思った。このころから親とはまともに会話しなくなっていって、とにかく後輩君とラブホテルのベッドで寝てた。大学ではもう何の授業してるかなんてさっぱりわからなかった。頭のいい友達のデータ、すべてパクってた。セックスがすべてだった。

 進路が決まらない中、だらだらバイトだけ続けてた。そしたら、お店にくるお客さんに「うちの会社来ないか」って誘われた。正直「ラッキー」だった。急きょ学校にも面接するって伝えて、すんなり内定。このころは、世の中ちょろいなって思ってた。

 年下の彼氏とは5年付き合ったけど、彼の都心への内定を機に振られた。振られた私は新しい拠り所を探して飲み歩いた。会社の忘年会で、海外赴任から帰ってきたばかりの先輩を狙うことに決めた。家が近かったからタクシーで一緒に帰る途中でキスしてやった。それで相手はすぐ告ってくれた。恋愛なんて楽勝だな、そう思ってた。先輩と付き合って三か月、年下の元彼と町でばったり会った。そのままホテルでセックスした。相手にとっては欲求を満たすだけだったのに、私はやっぱり元彼しかいないってなっちゃって。大事にしてくれた先輩にあっさりさよなら告げて、元彼とセックスしてた。結局元彼とはよりは戻らなかった。なりふり構わずわがままを押し通す私の性格を、「一生治らないと思う。」との忠告を残して去っていった。このときはそんなこと言って振るなんてひどい!この感情しかなかった。拠り所がなくなった。



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