1幕 1章 3話 無言の空間。



「あーーー!おわった!!!」



講義が終わり、くうこは机に突っ伏している。



「うん。お疲れー。」



私はそんなくうこを慰めるように背中をポンポンと叩いた。



「やっぱり難しいよー‥ちゃんりなよく理解るねー‥」



「もうゼミで結構やってるからね〜。初めてだとやっぱり難しかったか〜」



「難しいよ!!!頭パニックだったよ!!!」



ちょっとした怒りをちゃんりなにぶつけてた。

それでもちゃんりなは動じず、



「でも全然できてる方だよ〜!私なんて初めてやった時コードぐっちゃぐちゃで今のくうこより全然できてなかったもん!それに比べたらくうこプログラミング反映されてるからすごいんだよ〜」



ニコニコ笑顔で対応していた。

それに肩を貸すように私も



「ほらくうこ、ちゃんりなもこう言ってるから怒んないのー。」



と、言った。

だが、



「‥‥うっさい、あみ。」



拗ねてしまった。

‥‥くうこ、めんどくさ。



「ほらくうこ〜お昼ご飯食べに行こ〜!ね?」



「うー、ちゃんりなぁー」



ちゃんりなに手を引っ張られ、くうこは立ち上がり購買に向かった。

大学内には食堂と購買があり、私達はよく利用している。

基本的に購買でお弁当やパンを買って次の講義の教室で食べることが多い。



「はあ‥疲れた。」



くうことちゃんりなが2人で話しているので、隣にはりょーかがいる。

りょーかも講義が難しかったみたいで、疲れた顔をしている。



「りょーかはプログラミングできた?」



「全っ然。難しいどころか理解できない。ちゃんりなに教わってやっとついていけるって感じだよ。」



「あー‥‥」



やっぱりそうだよなー

私は橋本ゼミでちょっと教えてもらってるから多少はできたけど、りょーかも初心者。

くうこのように無理無理と声に出すわけではないが、りょーかも内心では無理だと思ってただろう。



「ちゃんりな本当によくできるよなって感じ。すごいわ。」



「ちゃんりなはそれ専門でやってるからねー。尊敬だわ。」



「‥でもあみもできてたじゃん。」



「いやいやいやいや!私も全然!わかんないところはちゃんりなに聞いてたし!」



じとーっという目を向けられながら、購買に着いた。





「これ美味しそう!」



「ほんと〜!シフォンケーキだ〜!」



「新しく出たんだー!気づかなかった!」



くうことちゃんりなの声が聞こえる。

2人は新商品のシフォンケーキに釘付けだ。

私はー‥おにぎりでも買おうと。



「りょーかは何買う?」



と、聞いたときにはすでに片手におにぎりを2つ持ってた。



「は、早いね‥選ぶの‥」



「そえ?あみは何にするの?」



「私もおにぎり買うー‥」



と、私もおにぎりとお惣菜の唐揚げを手に取りレジに並んだ。









「買った?」



レジ会計を終え、くうこ達と合流した。

くうこもお弁当とシフォンケーキを買ったみたいで、両手に抱えている。



「ちゃんりなは今日もお弁当?」



りょーかが聞いた。



「うん!お弁当持ってきました〜!」



ちゃんりなは私たちと違い、購買でお弁当を買わず、自宅から持ってくる。

たまにパンを持ってきたり、マイ弁当を作ってきたり、様々だ。



「じゃあ食べましょう!」



購買にあるイートインコーナーで4人はそれぞれのお弁当を広げ食べ始めた。



「‥‥」



「‥‥」



「‥‥」




「‥‥」




無言。

ご飯を食べてる時、人ってなぜ無言になるのだろう。

4人は終始無言で食べていた。

途中で携帯をいじる者もいれば、ぼーっとしている者もいた。

私も食べ終わってすぐに携帯をいじり始めた。



こうして、無言で、何事もなく、

昼休みが終わった。








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