第9章 王都アルキニス②

 門から出発し、アスタルテを弄りながら暫く揺られてまったりしていると竜車が停止しノレインがドアを開け降りる様にと促してくる。


「着きました、こちらが貴方がたが暫く泊まる予定の宿です。」


 そう言われ案内された宿は、普通の生活をしていると到底怖気づいて泊まる事が出来ないで有ろうと思う程の豪華な場所だった。


「受付の方からは既に鍵をお借りしております。どうぞ。」


 渡された鍵には数字で23と書かれていた。


「長旅の疲れもございましょう、ここの時計塔の鐘が2回程鳴りましたらお迎えに来ますのでそれまでお休み下さい。」

「分かりました。」


 受け取った鍵をポケットに入れノレインに頭を下げ宿の1室へと向かった。




「疲れたのじゃー。」


 アスタルテは部屋に入るなりベットに倒れ込む。


「長距離の飛行お疲れ様。」

「うむ、身体が鈍っておるのう。疲れが一気に来おるわい。」


 そう言うとアスタルテはベットに顔を埋めた。


「ところでお主、ノレインを見て何か感じ無かったかのう?」

「と、言うと?」

「うむ、これはわらわの感なんじゃがどうにも彼奴を見てから嫌な予感がするのじゃ。こう、何とも言えぬ感覚じゃがな。」

「うーん……」


 確かにアスタルテの言う通りノレインは何処か僕達を見定めするかのような目で見てきた感じがした。

 だがそれはもしかしたら僕達が危険な存在かと注意深く見ていただけかもしれない。


「今は何とも言えないかな。もしアスタルテの言う通りだとしても王都で何か出来るとは思えなくて。」

「じゃがお主もここに来る前に言っておったじゃないか、嫌な感じがすると。」

「そうだけど……」

「はっきりせんのう。」

「とりあえずは様子見で居ようと思う。けど用心するに越した事はないね。」

「うむ、そうじゃな。」


 どうするかはこの後ガーウィルに会ってからでも遅くは無い。

 だが何だろう、アスタルテには内緒にしているが先程から言い表せない嫌な感じがする。

 それも、僕やアスタルテにでは無く此処にいないルミーネにだ。

 外れてくれればいいと思いながらお守りとして身に付けているホワイトの鱗にそっと触れた。




 時計塔の鐘が2回鳴ったのでホテルの玄関に向かった。

 アスタルテは疲れているから此処に残るといいベットに倒れたまま動かなかったので置いていく事にした。


「お待ちしておりました。お連れ様は?」

「長旅で疲れが見えたので休ませてます。」

「そうですか。分かりました、それではどうぞお乗り下さい。」


 そう言われたので座席に座りホテルを後にし王城へと向かったのだった。

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