第3章 VSアスタルテ⑧
吹き飛ばされた後の事は覚えていない。ただ、暗闇に落ちていく感覚はあった。
(あの女神の言っていた事……。)
チャラーナは僕が大きな勘違いをしていると言った。それが何かは教えてはくれなかった。
(アスタルテは最初から求めていたもの……。)
それは自由だった。彼女は、あの足枷を外して欲しいと僕に願った。
僕は自分達が助かるならと思い了承した。
しかしそれは間違いだったと気付かされる。
誰に?
それは、あの石碑の横にあった穴の奥で住んでいた者の日記にだ。日記には日本語で色々書いてあったが、あの一文で僕はアスタルテが敵かもしれない可能性に気づいた。
何故それを信じた?
日記の内容は全て日本語だった、だからこの者の書いた内容が理解出来た。出来たから信じた。
アスタルテは殺す事を目的とし日記の所有者を襲った。それは紛れもない事実。
襲った理由は知っているのか?
知らない。ただ、日記の所有者は襲われるような事をしていた訳では無い。ドラゴンと共に生きる事を目指していた。
しかし、次第に自分が命の危機に直面していると感じ対策をした。
では、その対策とは?
アスタルテの制御だ。そうすれば自分の身が守れると思ったからだ。
だから彼は魔族と契約し首輪と足枷を作った。
それを、アスタルテが見ていないと?
……そうだ、見ていたかもしれない。魔族と話していた内容を聞いたかもしれない。
そうなればアスタルテは自分が危険な状態にあると思ってしまう。そうなれば先手を打ちに出る。
……最初っから間違っていた。
アスタルテは求めていたじゃないか、自由を。それを奪おうとしたのは?必死になってたのは?
全部自分達じゃないか。
あぁ、そう言う事かチャラーナ。確かに僕は大きな勘違いをしていた。
日記の所有者も、僕も、アスタルテも皆勘違いをし、すれ違い、結果惨劇を生んでいるではないか。
ならば、僕が出来る事はただ一つ。
アスタルテの解放だけだ。
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