第3章 VSアスタルテ②
アスタルテを紹介した瞬間ルミーネに首の根っこを捕まれ小屋に勢いよく戻された。
戻される時アスタルテが驚きで目を見開いていたのが見え、笑いそうになった。
「ななななな!」
「はい、落ち着いてー。深呼吸ー。」
「すぅー、はぁー。」
「落ち着いた?」
「なんでドラゴンがいるのー!!」
絶叫に近い叫びの声が聞けた。
これが普通の反応だよね。
僕は昨日ホワイトに会って耐性が若干付いたからアスタルテにそこまで驚かなかったけど。
うん、いい反応。
「何故ってそれは今から話すよ。それに、今の状況についても話すよ。」
「嘘でしょ……。」
ルミーネに今までの起きた事と現状アスタルテが敵である可能性について説明した。
説明を聞いたルミーネは自分達が置かれている状況に絶望しているようだ。
「どうするつもりなの?」
「これをアスタルテに付けれればなんとかなると思うのだけど。」
「首輪?」
手に持っている首輪を見て不思議そうな顔をする。
「これにはあのドラゴンを制御出来るよう魔術がかかっているみたいなんだ。」
「信用出来るの?」
「半信半疑なんだ。これを作った人は魔族と契約して完成させたって書いてあった。ただ効果が有るか分からない。」
「それって。」
「うん、賭けに近いね。」
「そんな……。」
「でも、今これぐらいしか頼る物が無いんだ。」
「……そっか。それで、どうやってそれを付けるの?」
「考えてはあるんだけど。」
正直、成功確率は低いと思う。
不安要素も多いし失敗すれば間違いなく死ぬだろう。
「どうしたの?」
心配そうに見つめて聞いてくる
「成功する可能性が低い作戦なんだ。不安要素しか無いし君にも危険が生じる。」
「どんな作戦?」
「それは……。」
「それって作戦って言わないわよ。」
「でも、首輪を付けるにはこれぐらいしか思いつかなかったんだよ。」
作戦を聞いたルミーネは呆れたと言わんばかりの顔でため息をついた。
彼女の言いたい事は最もだ。
僕が提案したのは作戦って言えるものじゃない。
「私があのドラゴンに乗って背後から付けろって。それって私に死ねって言ってるの。」
「そうならないように上手く誘導するつもりだけど、確かに失敗すれば2人とも死ぬかもね。」
「あなたってバカでしょ。」
「頭は良くないね。」
「はぁー、どうしてもそれしか浮かばないのね。」
「色々と考えたけど、やっぱりこの作戦が考えた中では成功確率は高いと思った。けど、君の同意無しでは出来ない。それに無理なら他の作戦を考えるよ。」
「…………。」
ルミーネは目を瞑り考えてる様だ。
それは当たり前の事で自分のの命に関わる事だ。
彼女が嫌がれば他の作戦を考えるだけの事だ。
暫くして彼女は目を開けこちらを見る。
「分かったわ。」
「本当にいいのかい?」
「私だって他にいい方法が無いか考えたわよ。でもあなたが言った作戦が1番しっくりくるの。」
「ごめん。」
「どうして謝るの?」
「だって、君に危険な事をさせる事になるから。」
「本当よ。でもね、これは私自身で決めた事よ。あなたは提案しただけ。断ってもいいって言ってくれた。それでも受け入れた。他でもない私が決めたのよ。」
「……。」
真っ直ぐな目でこちらを見、はっきり自分で選んだと言った。
提案した僕を責めず、自分自身で決めたと。
だから僕は。
「ありがとう。」
「うん。」
一言感謝の言葉を述べ外で待っているアスタルテの元へ向かった。
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