第3章 VSアスタルテ

「やっと帰ってきたのかえ。」

「ごめん、少し手こずった。」

「そうか。で、どうじゃ。何か分かったかや。」

「うん、解除の仕方は分かった。」

「ほんとかえ!なら早う解除してくりゃれ。」

「まあ落ち着いて。小屋に居るビーストの娘を連れて来るから。」

「そんなのは後でも良かろう!」

「いいや、今じゃなきゃ駄目だ。」

「何故じゃ!!」


 アスタルテはなかなか解除に移らない事にイライラを顕にし始めた。

 不味いな、一旦落ち着いて貰わないと。


「後で脱出する時に起きて騒がれたら面倒だからね。今の内に状況を話して理解してもらった方が事が運びやすい。僕はそれが最善と思うのだけど?」

「う、うむ。確かにそうじゃな。」

「分かってもらえて助かるよ、アスタルテ。」


 少し待ってと言って小屋へ向かう。

 探索中に小屋を襲撃されてなくて良かったと思った。

 ドアを開け中で気持ちよさそうに寝ている娘を見る。


(気持ちよさそうに寝て……。)


 何も知らない寝ている寝顔を見ていると今、緊張している自分が滑稽に思えて笑えてくる。


「おい、起きろ。」

「すぅー、すぅー…。」

「おーきーろー!」

「ひゃい!ごごごめんなさい。もう食べましぇん!」


 何を?ってツッコミはしないでおこう。

 てかどんな夢見てたんだか。

 ほーら、ヨダレが出てる。


「目覚めたかい?よーし、では大人しく僕の言うことを聞いてほしい。」

「ふえ?」

「これからここを脱出します。」

「ちょっと待って。」

「その為には大人しくゆう事を聞いてもらいまーす。」

「待ってって。」

「まず初めn……。」

「待ってって言ってるでしょうがあああぁぁぁあああ!!」


 綺麗なドロップキックをくらった……。







「落ち着いた?」

「えぇ、だいぶ。」


 あの後蹴るわ殴るわでぼこぼこにされた。

 ただ力加減はしていてくれたみたいでそこまで痛くはなかった。

 最初のドロップキック以外は……。


「で、だ。さっきも言ったけどここを出る。」

「ここって何処なの?」

「さっき居た遺跡の真下にあった洞窟。」

「そこに落ちてきたわけ。」


 青ざめて聞き返してくる。


「幸い落ちた先は大きい池だったから無事だったけど。」

「そうなの……。」


 溺れかけた事やその後の緊急処置については黙っておこう。

 彼女には悪いが咄嗟の出来事だったから深くは考えていなかったが、今思うとかなり大胆の事をしたと思う。


「……あなたには何か助けられてばっかりね。」

「性分なんで。」

「ありがとうね。」

「どういたしまして。」


 素直にお礼を言われた事に正直驚いた。


「そういえばまだ名前聞いていなかったわね。」

「では、自己紹介させて頂きます。僕は結城 卓也。ただの人間です。」

「タクヤね。私はルミーネ・アルベルト。見ての通り白狼よ。」


 あ、狼だったのね。

 犬かと思ってた。


「よろしく、ルミーネ。」

「よろしくね、タクヤ。」

「さて、自己紹介も済んだし改めて本題に入る。」

「ん。」

「まずは君に紹介しなければならない存在についてだが。」

「?」

「驚かないでね。」


 そう言ってルミーネを外に連れ出す。


「紹介するよ。ドラゴンのアスタルテだ。」


 その姿を見たルミーネは面白い程一瞬で毛が逆立った。


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