第2章 新しい出会い⑥
どういう事だ?
深紅のドラゴンを信じるなだって。
気になり続きを読む事にした。
『俺は間違いを犯した。あのドラゴンは最初から従うつもりは無かったようだ。従順の振りをし俺を騙し続けていた。それに気が付いたのはあいつがミスを連続でやらかしたのがきっかけだ。普段からミスをしていたがあからさまに目的を持ってミスを犯し始めた。これからの経過観察とあいつに対する警戒を忘れないように気をつけなければ。』
そこから数ページは経過観察による記述だけが続いた。
何ページか読み進めると。
『ついにあいつは悪意を持って俺の命を狙って来やがった。毒の入ったスープ、明らかに俺を狙った攻撃。このままでは命が危ない早く手を打たなければ。』
『魔族と契約をしあいつを制御する事の出来る首輪作る事が出来た。今度の誕生日にあいつにプレゼントと偽り着けさせなければ。』
『こちらが動く前にあいつが先に仕掛けて来やがった。激しい攻防で手痛い深手を負ってしまった。持って俺の命は数時間だろう。束縛の呪いがかかった足枷はなんとか付けれたが首輪は無理だろう。もし、これを読んでいる者が居るとしたらお願いだ。引き出しに入っている首輪を……て………。』
最後は血で汚れていて読めなくなっていた。
机の引き出しを開けると赤い首輪が入っていた。
かなり大きくドラゴンの首に巻くには丁度いい大きさだ。
「これをアスタルテの首に付けるのか。」
そう考えるとあのドラゴンが恐ろしくなってきた。
ただ、日記を見るに足枷の解除について触れていなかった。
ではあの解除の仕方は誰が教えたのか。
もしかしたら解除の方法を教えたヤツは、足枷を作った存在なのかもしれない。
ただアスタルテに大きな誤算が有ったとすると足枷は自分で解除出来ないって事だろう。
だからあの石碑を作り他の存在に解除させようとした。
が、きっと書ける文字は日本語だけなのかもしれない。
この日記の持ち主はアスタルテを従わせようとしていた。
なら自分達しか解らない文字を使えば、例え捕まったとしても読めない文字ならば計画内容などは理解されない。
それがアスタルテに取って二つ目の誤算だろう。
多分ここには多くの人が来たと思う。
その人質に同じく石碑の存在を教え解除させようとし、失敗した。
その人達はその後アスタルテの食料になったと思う。
そして長い月日が流れ僕達は現れた。
正確には日本語が読める僕がだが。
「…………。」
暫く落ち着いて考えをまとめた。
今どのような状況か。
この後どうするべきか。
その行動で生じる問題点。
その改善点。
「ふぅーーー……。」
大きく深呼吸をした。
大丈夫、考えはまとまった。
ミスをすれば死ぬだけ。
足が震える。
歯が恐怖で鳴る。
心臓がはちきれる程激しく鼓動を刻む。
正直逃げだしたい。
だが小屋にいるビーストの彼女を置いて行けない。
「すぅーーー、はぁーーーーー。」
もう1度大きく深呼吸をし覚悟を決める。
さあ行こう。
生死をかけた賭けに。
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