第1章 人生初の異世界④

 さて、やる事は決まった。なら次はどうするかだが、まずは寝床の確保からだな。

 今晩どうにか凌いで明日の朝、市場を見て回る事にしたい。市場に出回ってる商品は基本食用が多い筈だ、出来れば食べれる果物でも記憶しておきたい。そうすれば、明日にはここを出て最初に居た森に戻り記憶した果物を探せる。

 その為にも今晩寝る事が大事なのだが。


(どうする。)


 考えろ。

人間は考える事が出来、それを行動に移せる存在だ。

今座っている場所から見える範囲でめぼしい物が無いか探す。辺りに有るのは、木箱、それにかかっていた布、空き瓶、あとは……。


(ん?この匂いは確か…。)


 端の方に有った壺から嗅いだ事のある匂いが漂ってきた。


(これは……、油?外に置いてあるって事は食用では無さそうだが。)


 ふとある事を思いつき近くに転がってた空き瓶を拾い、申し訳ないと思いながらも油を瓶に移す。それと、木箱にかかっていた布を拝借する。


(これで燃料とタネを手に入れた。後は火が出るものが有れば完璧なのだが有るか?)


 再度辺りを見渡してもそれらしき物は見当たらない

、ポケットの中を漁ってみてもされらしき物は無かった。

 仕方ないと諦め場所を移す。これだけの物を拝借しのだ、持ち主に何をされても文句は言えない。そうならない為にもその場から逃げる様に移動をし別の離れた路地裏で布を羽織座りながら寝る事にした。


(初めてだ。こんな惨めな状態で寝るのは。)


 今までの生活が嘘のように百八十度真逆の状態だ。

 暖かい布団で寝ていた筈なのに今では路地裏で布1枚に包まって寝る状況、この先この世界でやっていけるか不安でしかない。

 本当に神さまの意地悪。


(嘆いてもしょうがない。寝よ。)


 こうして異世界生活初日を終える事にした。

 やる事は山積みだ、今まで経験したことのない過酷かこくな状況下でどこまで出来るかなんて解らない。

 でもやるしかない。

出来なければ明日が無い、だからやる。今日よりも良い明日を迎える為にも自分が持ってる知識と経験で今を乗り切ろう。そう決心し、疲れで重くなっていたまぶたを閉じ今日にさよならを告げた。

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