イギリモギリさんと私。

第1話 深夜のコンビニと私。

 私が、イギリモギリさんと出会ったのは本当に偶然だった。

 そう言うと彼は床を転がりまわって抗議するけれど仕方がない、それが事実なのだもの。

 あの夜、私は無性にコンビニのからあげが食べたくなって、彼に出会った。

 もしもこれを彼の言う運命だとするのなら、ド深夜に、唐突にジャンクフード系を食べたくなってしまうという一般女性にありがちな現象も運命ということになるだろう。

 つまりは宇宙の偉大なる法則のせいで私は5キロ太ったわけである。宇宙の因果、なんて恐ろしい。

 

 それはさておき、イギリモギリさんの話である。

 イギリモギリさんは宇宙人だ。

 ……いつも思うのだが、なぜ宇宙人は夜にやってくるのだろう。昼間に来い、昼間に。

 神秘性というやつなのか。それとも星は昼に見えないのと同じで、宇宙人も本当は昼間に来ているけれど、人間が見落としてしまっているだけなのか。それなら誤解してしまって申し訳ない。

 とにかく、だいたい深夜に遭遇するケースが多い気がする。イギリモギリさんもそんな例にもれず、大いなる運命の歯車でせっせとカロリー摂取にいそしむ私の目の前に降ってきた。

 そう、降ってきたのだ。

 墜落、とも違う。ひらりひらりと、いや、もう少し儚い感じではらりはらりと落ちてきたのであった。


 親方ー!!


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イギリモギリさんと私。 @konomori

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