第10話 お見舞い❕
今日は、明さんのおとうさんのお見舞いに行く事にしました。
プップーと車のクラクションの音が聞こえます。
夏子さんは、今日は、仕事が休みです。
自分の部屋の窓を開けました。
「今から下に降りるね。」
下で明さんが手を振っています。
「母さん、明さんのおとうさんのお見舞いに行って来ますね。」
「はい、気をつけてね。」
夏子さんは、昨日仕入れ先より仕入れたブルームーンとカスミソウを取って、簡単な花束を作りました。
明さんのおとうさんが、良くなりますようにと願いながら。
店先には、黒のスポーツカーが止まっています。
ガチャっと音がして車のドアが開き明さんが降りて来ました。
「なっちゃんどうそ。」
「ありがとう。」
本当に明さんは、優しいんです。
誰かさんとは、大違いです。
たぶん誰かさんは、くしゃみをしている事でしょう!
二人は、車に乗って30分ほど走った所に明さんのおとうさんが入院している病院につきました。
「着いたよ。」
「うん。」
車を病院の駐車場に止めて、二人は、病院内に入りました。
受付を過ぎて、エレベーターに乗って4階につきました。
明さんのおとうさんの病名は、心不全でした。
入院してもう二年になります。
長年の仕事の疲れがたまったせいか仕事中に倒れたそうです。
明さんのおとうさんは、電機工事の会社の社長をしています。
今は、副社長の明さんが、がんばって切り盛りしているようです。
ナースステーションに挨拶してから病室に向かいました。
病室は、403号室です。
トントンとノックして中に入りました。
個室なので、ゆったりした部屋です。
「父さん、夏子さんを連れて来たよ。」
そう言って、二人は、病室に入りました。
「はじめまして、明さんとお付きあいをさしてもらっています。夏子ともうします。」
「夏子さんそんなに改まらなくても良いよ。」
二人は、笑っています。
夏子さんは、緊張しているようで、顔が熱くなったのを感じました。
「お体は、どうなんですか?」
「それがね、なっちゃん来週何もなければ、退院なんだよ。」
明さんが、嬉しそうに言いました。
「良かったですね。」
「ありがとう。夏子さん。」
「あのー、大したものじゃないんですが、お花をお持ちしたので、花瓶有りますか?」
そう良いながら、回りを見渡しました。
明さんのおとうさんが寝ているベットの横に花瓶がありました。
「これ、ちょっと借りますね。」
そう言うと、その花瓶を持って夏子さんは、外の流し台の方へ走って行きました。
「面白い子だね。でも、まさかあの女の子が夏子さんだったなんて驚きだね。」
「父さん、覚えてるの?何となくね。」
「そうなんだ。俺はまだ、小さかったから覚えてないけどね。」
「でも、あのときは、本当に父さんも母さんも探したんだから。二度とあんなことはやめてくれよ。」
「わかってるって。でも、あの事があったから今に繋がるんだよ。」
「そうなのか?運命かもな。」
「俺もそう思う。」
二人が、そんな話をしているなか夏子さんは、流し台で花をいけていました。
「口から心臓が出るって言うのは、この事を言うんだな。」
夏子さんは、一人事を良いながら、必死に花を飾りました。
「明、夏子さんとは、結婚するのか?」
「まだ、だけど、したいと思ってるよ。」
「そうか。早く孫の顔を見せないくれよ。」
「父さん、気が早いよ。」
二人は、楽しそうに話しました。
そこへ、夏子さんが帰って来ました。
「おじさん、お花、ここの台の上に置いて起きますね。」
「ありがとう。明をよろしくお願いしますね。夏子さん。」
「はい、分かりました。」
二人は、何故か笑っています。
私、何かおかしい事いったかな?そう思いながら外を見ました。
窓の外はもう、夕焼けでした。
「なっちゃん、そろそろ親父飯だから、帰ろうよ。」
「そうだね。」
「おじさんでは、失礼します。おばさんにもよろしくお伝えください。」
「夏子さん、今日は、本当にありがとう。今度、逢うときは、家だろうから、妻にも顔を出すように言うね。」
「はい。」
「父さん、じゃ又明日、仕事が終わったら顔出すね。」
そう言って、二人は、病室を出ました。
「なっちゃん、晩ごはん食べて帰ろうか?」
「良いよ。」
「じゃ、なっちゃんにどうしても食べて貰いたい定食屋が有るんだけど、そこで良いかな?」
「うん。良いよそこで。」
そう言って、二人は、病院を出て車に乗りました。
「ねーさっき何で笑ったの?」
「えっ、ナイショ。」
「もうーケチ。」
「ケチって。」
二人は、楽しそうです。
これから二人は、どうなるのでしょうか?
それは、又次のお話です。
という訳でこの回はおしまいにします。
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