第8話 ブリザード❕
寒い冬の到来です。
「さぶっ。へっくしょん!」
「風邪引いたかな?」
名前が、夏子と言うからでは、無いのですが、冬は、苦手みたいです。
智とは、仲直りは、したものの、その次の段階に進めない夏子さんでした。
もし、今が20代ならどんな荒波にでも飛び込んだと思いますが、30代の彼女は、慎重さ故、後一歩が踏めずにいました。
そんなとき、スマホの着信がなりました。
画面を見ると、智からでした。
「はい、もしもし、今から仕事の支度が有るんだけど、何かな?」
「あっ、ごめん、ごめん。あのさー、夏子この週末空いているかな?と思ってさぁ?」
「空いているといえば、空いているけど?」
いつもは、仕事なのですが、一ヶ月に一度のみ土日の休みを入れています。
ていうか、毎日、忙しいのですが、土日は、仕入れ先のお婆さん家が休みなもんで取ろうと思えば、休みが取れます。
しかし、両親も良い年なので、私が、即戦力になってたりします。
「良かった。じゃあさぁ、スノボ行かない?」
「えっ、スノボ。寒いの嫌だよ。」
「そこを何とか頼むよ。仕事先のお得様がしてるスキー場でさぁ、これからお世話になるとこなのよ。挨拶がてら行こうと思ってさぁ!」
「そういうとこ、相変わらず、まめよね?」
「そうかな?それと、俺の華麗な滑りをお見せしようかと思ってね。」
「智って、そんなにスノボうまかったけ?」
「失敬なぁ?誰かさんに相手にして貰えない間に少しは上達したの。」
「でさぁ、こっちは、仕事の先輩連れて行くから、そっちも誰か可愛い子を誘ってよ。」
「可愛い子?私の友達といえば、ちいちゃんしかいないけど?」
「えっ?あの、気の強そうな子?まっ、良いかぁ?おいらは、夏子一筋だからさぁ!」
「はい、はい。じゃ、今日の晩にでも電話してみるよ!それまで、待ってくれるかな?」
「くれる、くれる。ありがとう。じゃ、頼んだよ。夏子ちゃん。」
そう言って、智は、スマホを切りました。
時計を見ると、仕入れ先に向かう時間をとうに過ぎています。やばっ、と思って、身支度を簡単に済ませて、車を走らせました。
******
その夜。
「もし、もし、ちいちゃんですか?この週末空いている?」
「空いているよ。どしたん?」
「あのさ、スノボ行かない?智に誘われてさぁ、仕事先の先輩も来るらしくて、頼まれてくれないかな?」
「いいよ!」
「まじで、ありがとう。じゃ、時間決まったらまた、連絡するね。おやすみ!」
「うん、おやすみ。」
これでよしと。
そう思いながら、夏子さんも眠りにつきました。
******
スノボ、当日。
スマホに智から、メールが来ました。
" 下に着いたので、降りて来て下さい!!"
スマホにちいちゃんからメールが来ました。
"下にいるで‼"
夏子さんは、両親に1泊2日のスキーを告げて、急いで、外に出ました。
「夏子、おはよう。智君気合い入ってるぽいね‼」
「夏子様、お迎えに参りました。」
「アホかいな!じゃ車失礼します。」
「失礼します。」
「えーと!とりあえず、改めまして、自己紹介から。」
「夏子の元に戻りたい!智と、申します。宜しく!」
「夏子の友達の千広です。皆からは、ちいちゃんと呼ばれているので、ちいちゃんと呼んで下さいね‼」
「夏子です。宜しく!」
「それから、こちらが、…!」と、智が、もう一人の会社の先輩を紹介しようとして、その人が顔を挙げた瞬間、私は、その人と、目が合いました。
「えっ!明さん?」
「えっ?夏子、知り合いなの?」
「えー!まじ?」
一瞬、時間が止まったような気がしました。
あれから、明さんとは、定員と客の関係しか取って居ませんでした。
「夏子、先輩と、どんな関係なん?」
「別に、変な関係じゃ無いよ。だだの、お客さんだよ。」
「ほー、良かった。先輩、俺の夏子を捕らないでね‼」
「えー!何言ってるの?智、明さんに失礼でしょ?」
「………。」
「まっ、取り敢えず、出発しない?もう、20分もここにいるよ。」
「あー、そうだね‼と、言うわけでスキー場に出発します。場所は、長野県の山川スキー場です!僕の、大事なお客さんのトコなので、皆さん、粗相の無いようにお願いしますね‼」そう言って、智は、車を走らせました。
席は、前に、智と、明さん、後に、私と、ちいちゃんが座りました。
時間にして、2時間半と行った所で、しょうか?
山奥に、スキー場が見えて来ました。
「着いたよ。みんな降りてー。」
「ほーい。*3」
ペンションの入り口に、入ると、優しそうな、おじさん夫婦が立っていました。
「本日、お世話になります、松本です。宜しくお願いします。」
「松本君、わざわざありがとうね‼こんなところだけど、精一杯のお世話をさして貰うので、ゆっくりして行ってね。」
「ありがとうございます。みんな、この日を楽しみにしていたので、寛大で、有ります。」
「智、ちょっと、かたっくるしく無い?」
「そうですよ!松本君、少し、肩の力抜こうか?」
「はっ、は、は、は。」
「みんな、笑うなよ!こっちは必死何だから‼」
「ごめーん。*3」そう言い終わると、奥さんが、各部屋を紹介してくれました。
二人づつの部屋で、男女別に別れます。
「じゃ、取り敢えず、着替えが出来たら、したのロビーに集合なっ‼」
「はーい。*3」
そして、各部屋に別れました。
「夏子、あの人が、噂の明さんなん?格好良くない?」
「まあね。」
「何、それだけ、つまらないのー。夏子、智君と寄り戻すの?」
「まだ、分からない。あれから、何回かお茶したけど、進展なし。」
「そうなんだ。」
「そろそろ、答えを出そうとは、思うんだけど、何か前みたいに、トキメキが無いんだよね。」
「そっか、それって、もう、しおどきじゃ無いの?新しい恋見つけた方が、良いんじゃ無いの?例えば、明さんとか?」
そう言われた瞬間、夏子さんは身体中に熱いものを感じました。
着替えが終わって、下におりました。
ちいちゃんが、変な事を言ったので、まともに、明さんの顔を見れません。
「それでは、今からスノボをしますが、自信の無い方、手を上げて。」
すると、私一人が、手を挙げました。
「何か恥ずかしいなぁ?みんな折角来たんだし、私に気にせず滑って来てよ!」
「それは、駄目だよ‼みんなで来たんだから、取り敢えず、初級に行きましょう。後から、先輩と俺は、物足りなければ、上級に行くから。」
「すごーい!智、腕挙げたんだね‼」
「まあーね‼」
そして、初級コースに行きました。
ぜんぜん滑れない訳では無いのですが、五年ぶりのスノボなので、躊躇した夏子さんでした。
「夏子、滑れるやん?」
「まあね。」
「じゃ、中級行く?」
「良いですよ!」
「ほー。がんばりますなー!」
「夏子、やめときなよ!久しぶり何だから、ケガするよ!」
「大丈夫しょっ!」
「もうー💢」
「と、言うわけで、中級に行きましょう。」
「夏子さん、本当に大丈夫?無理は、いけないよ!」
「ありがとう。大丈夫だから、みんなに悪いから少しは、付き合うよ。」
それから、リフトにのって中級に来ました。
「えー、中級になると急に坂になるのね↓」
「大丈夫?夏子。」
「ボチボチ後ろから滑ります。トホホ。」
やめときゃ良かったそう、夏子さんは、思いました。
私、何、智に、イライラしてんだろ?
ちいちゃんは、高校時代、スノボの全日本で3位の実力の持ち主です。
さすがに、久しぶりと言えども、上手い!上手い!
智は、
「お先ー。」って、行ってしまいました。
ちいちゃんは、心配なのか、私の横を滑っています。
「ちいちゃんも行っておいでよ。気にせずにさぁ。」
「分かりました。」と、言ったとたん、すーと、消えてしまいました。
なんで、スノボ何て来たんだろ?
ため息を付きつつ、考え事をしていたせいか、夏子さんのスピードはどんどん早くなっていました。
我に戻った瞬間、
「わぁー。」
夏子は、転げ落ちてしまいました。
「夏子、何やってるの?やっぱ無理だったんじゃ無いの?」
「うるさいなぁー!智は、黙ってて‼」
「はい、はい。」
立ち上がろうとした時、左足首に痛みを感じました。「痛っ!」
「大丈夫?夏子?言わんこっちゃ無い!」
「ごめん、ちいちゃん!私、ペンションで休んで来るよ。」
「明さん、夏子について行って貰えますか?」
「えっ、何?俺が行くよ。」
「今の智君は、駄目、 夏子を逆立ててばかりいるから。」
「ねっ、お願い出来ますか?明さん?」
「それは、良いけど、松本に悪いよ。」
「明先輩もそう言ってるんだし、俺が…。」って言う間もなく、ちいちゃんは、
「行くよー。」って言葉とともに、智の左耳を引っ張って行ってしまいました。
一瞬、ちいちゃんが私の目を見てウインクしたように見えました。
「大丈夫ですか?夏子さん?立てますか?」
「ありがとう、痛っ!」
「無理するからですよ。これからは、僕の前では無理しないで下さいね‼」
そういうと、明さんは、ピョイと夏子さんを抱き抱えました。
リフトにのって、したまで降りて、ペンションにつきました。
「明さん、ありがとう。もう大丈夫だから、みんなの所に行って。」
「いや、もう、今日は、十分だよ。お互い部屋に行って着替えたら、下で暖かい飲み物飲もうよ。」
「うん。」そう言って、互いの部屋に行きました。
着替え終わって、下に降りると、明さんが待っていました。
まだ、後の二人は戻っていないみたいです。
「湿布貼ったげるっ!奥さんにもらったんだ。」そう言って、明さんは、夏子さんを笑顔で迎えてくれました。
なんで、智だと、イライラするのに、明さんだと落ち着くんだろ?そう思いながら、湿布を貼ってくれました。
優しいなぁ。
明さんは。
「ここからの眺めは、最高だね‼」
そう言って、言われた方の空を見上げると、空は、真っ青でした。
「今日の晩、10時に屋根裏の展望台に行かない?夏子さんが良ければだけど。」
「うん。見て見たい!」
「じゃ、約束なっ‼」
二人は、指切りげんまんをしました。
何だから子供の頃に戻ったようです。
スマホがなりました。
ちいちゃんからでした。
「夏子、お昼、上のレストランで食べるからペンションで食べといて、晩ごはんまでには、帰るから。何かさー、久しぶりに滑ったら火が付いちゃって、夏子を困らせるやつは、やっつけとくから。」
そう言って、ちいちゃんは、スマホを切りました。
何かちいちゃんも楽しそう。
そう思いました。
明さんと二人でお昼を食べて、疲れたので、各部屋で晩ごはんまで、休憩する事にしました。
「夏子?夏子?」
遠くの方で、私を呼ぶ声がします。
ふと、目を開けると、ちいちゃんが私の顔を覗き込んでいました。
どうやら、疲れて寝てしまったようです。
四人で、晩ごはんを食べて、ゆっくりしたら、10時が来ました。
ちいちゃんは、久しぶりなのに、日中スノボに明け暮れていたので今は、寝ています。
部屋を静かに出て、階段を登ると、扉がありました。
その扉を、開けると、満天の夜空が飛び込んで来ました。
その先に目をやると、一人の男性が佇んでいました。
「明さん?」
「見てご覧?夏子さん、星空がこんなに綺麗だよ。」
「うぁー、ホントだぁ!」
まるで、子供が二人、はしゃいでいるようでした。
なんで、明さんといると、自然になれるんだろう?
「夏子さん、僕と付き合ってくれませんか?」
「えっ?」
「ごめん、急で、ずっと迷っていたんだけど、今日、君と一日一緒にいて、これ以上一人にはさせられないと思もったんだ。駄目かな?」そう言うと、明さんは、熱い眼差しで、私を見つめました。
「ありがとう。こんな私で良ければ、宜しくお願いします。」
夏子さんは、自分の素直な返答にびっくりしました。
「明日、朝、松本には、僕の方から事情を話すよ。それからなっちゃんって、呼んで良いかな?」
「いいよ。」
そう言ったとたん、明さんは、私を抱き寄せて、ほうに軽くキスをしました。
翌朝、隣の部屋から泣き声がします。
どうも、明さんが、智に私との事情を話した見たいです。
「夏子、私のサプライズどうだった?」
「明さんに、告白されて、付き合う事になりました。」
「あら?そう、展開早いわね?まあ、良いわ。おめでとう。今度は、手離しちゃ駄目よ。」
「分かりました。ありがとう。」
「じゃ、智君は私が頂くわね‼彼、扱きがいが有るから。」
「宜しくお願いしますね。ちょっとお子ちゃまなトコあるけど。」
「そこが、可愛いの。」
こうして、夏子さんの春は、再び、花を咲かせたようです。
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