第6話 同窓会!?

今日も、予約の電話でてんてこ舞いの夏子さんです。

サイトの立ち上げと女性陣の噂のおかげで、売上は好調です。

それは、嬉しいのですが少しは、休ませての夏子さんでした。


「郵便でーす。」その声と共に、郵便屋さんが、郵便を持って来てくれました。


「いつも、ご苦労様です。今、手が話せないので、その辺に置いといてくださーい!」


「分かりました。この台の上に置いときますね。」そう言って、郵便屋さんは、去って行きました。


「夏子、お昼にしよう!」

「わかった、今やってるの済んだら食べるから先、食べてて!」

「はい、はい。」


「よし、お得意様の高木さんの出来たから、取りに来るように、電話しといて。」

「はい!わかった。電話しとくから、手を洗って上がってきなさーい!」


夏子さんは、手を洗って、台所横のリビンクに向かいました。

ソファーに腰かけた時、郵便屋さんが持って来た、郵便を思い出しました。


色んな郵便物の中に、一枚のハガキを見つけました。


「うっ?同窓会のお知らせ?忙しいからこんなの行けないわー。」

「そんな事言わないで、行って見たら、同窓会。」

「うーん⁉考えとく。中学の時の、同窓会だから、みんなあんまし、付き合い無いからなー。」

「ちいちゃん誘って見たら?あの子いたら、なっちゃんも行きやすいでしょ?」

「わかった。又晩にでも、ちいちゃんに連絡して見る。」そう言って、ハガキを机の上のレターラックに差しました。


その夜。


ちいちゃんに、連絡をする事にしました。


スマホの連絡帳の中からちいちゃんを選んで、(ちいちゃんとは、山下千広〈やましたちひろ)と言って、幼稚園からの幼なじみです。)画面を押しました。


ププ、プ、プルルー、何秒か発信音が、なった後、


「はいよ!何ですか?」と、ちいちゃんは、スマホに出ました。


「あ、あのさ、同窓会のハガキ来てたやろ?ちいちは、行くんかなぁ?と思ってね?」


「あっ、そう、そう、私も夏子にどうするか聞こうと思っていた所よ。」


「で、どうする?行く?行かない?」


「母さんが、気晴らしに行って見たらっていうのよ!ちいちゃんが行くなら行ってみようかな?って。」

「私も、夏子が行くなら行くよ。」

「うーん⁉じゃ行く?」

「わかった。行く。」


そうして、二人は、同窓会の約束を付けました。

「じゃ、当日、夏子ん家に迎えに来るね。えーと、日付は、4月23日、A.M.11:00、ホテルシルビア2F、鳳凰の間ね。Ok、じゃ、またね。」そう言って、ちいちゃんは、スマホを切りました。


みんな、どうしてるかな?そう思いながら、疲れていたのか、夏子さんは、そのまま眠ってしまいました。


*******


同窓会当時。


「夏子、同窓会、行くよー。」と、ちいちゃんの声がしました。


「今、行くっー。」そう言って、2階の自分の部屋からおりました。


ちいちの車に乗って、30分位走った所にそのホテルは、ありました。


ここは、お得意様の1つで、結婚式や式典会場のフラワーアレンジメントやブーケを頼まれる事が良く有るので、すぐに、分かりました。


「着いたよ!」

「何か、緊張するよね。」

「みんな、元気かな?」

「どうだろうね?楽しみだね。」


2階に上がると、鳳凰の間がありました。


入り口には、"第61期生丸山中学同窓会"とありました。


「入るよ!」

「うん。」


中に入ると、何か、見たことの有るような面々があります。


「夏子?久しぶりー?」と、向こうの方から前原可南子(まえばらかなこ)がやって来ました。〔彼女は、クラス一の目立ちたがり屋でした。〕


「ねーねー、分かる?私、私。覚えてるよね?夏子変わらないね。そうだ、松本君元気?」

「えっ⁉彼とは別れたよ。」


「えー、そうなの?あんなに仲良かったのに?結婚したのかと、思ってた。」

「はー、まあ、いろいろ有ったから。」


「松本くーん!夏子来てるよ!」


えっ、また、余計な事を。

そう思ったのもつかの間、向こうから松本智(まつもとさとし)が歩いて来ます。


「ちいちゃん!帰ろっ!」


「えっ⁉来たばっかなのに、帰るの?まーいいけどさぁ。」


私が、元来た道をちいちと帰ろうとした瞬間、右手首を捕まれました。


「夏子、待ってよ。」


「来てたんだっ。って言うか?手離してよ。」


「ごめん。ずっと、君に謝りたかったんだ。あのあと、一日考えて、夏子のスマホに電話したんだけど、繋がらなくってさぁ。少し、話出来ないかな?」


「智君、そんな話、みんなの前じゃ、出来ないでしょ?場所変えたら?」


「夏子、私、もう少し同窓会、楽しんで帰るからさー、行っといでよ。」


「私、もう、別に話す事なんて…。」


まだ、話も終わらないうちに、

「行こう!」と、言って、手を引っ張っていかれました。


ちいちゃん、折角来たのにごめんね。と、思いながら、彼の車に乗りました。


「どこ行くの?」


「急、だったから、決めて無い。」


「話って、何?さっきもいったいけど、私、別に話す事無いんだけど。」


「改めて言うけど、すまなかった。あのあと、夏子の店にも行ったけど、話かけずらくて。」


彼とは、二年前に別れました。

みんなが思う様にわたし自信、彼と結婚すると思っていました。

原因は、彼の浮気でした。

彼は、仕事場の忘年会の帰りに、過ちを犯しました。

その日に限って、彼は、日頃の仕事のストレスか飲めないお酒を沢山飲んだそうで、後輩の女性の誘いにのってその日は、二人が同棲しているアパートに、帰って来ませんでした。


私達は、中学生の時にサッカー部のエースだった彼に私が、一目惚れして、中学の卒業式に、私が、告白して付き合い初めました。


私は、すぐ様実家に住み初めました。


「夏子、俺たちやり直さ無いか?あの彼女とは、何もなかったんだ。ほんとだよ。あれは、彼女のハニートラップだったんだ。」


少し、二人は、何も話さないまま、山道を走っていました。ちいちゃんは、楽しんでいるかな?

「少し、時間ちょうだい。」


「はい、これ、電話番号!」

そう言って、彼から電話番号をコンビニのレシートの裏に書いて、渡されました。


「悪いけど、家まで送ってくんない?」そう言って、この日は、家に帰りました。


家に着くと、向こうの方から私を呼ぶ声がします。


「おーい、夏子さんお花いいですか?」


私は、涙声で、


「あっ、明さん、いつもありが…。」


私は、明さんの前で、泣き崩れてしまいました。


「大丈夫ですか?」


明さんは、何も理由を聞かず私の手を取り、立たせてくれて、そして、そっと、抱きしめてくれました。


「ここじゃ何だから、お茶でも行こうか?」


「うん。」夏子さんは、涙を片手で拭いて二人は、商店街の町並みに消えて行きました。





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