第18話 再び冒険に出かけよう3

なんとかフリーズ状態を脱して、お店の中に入るとマリーサさんとエルザさんが口論していました。

いや、親子ということを踏まえると、じゃれ合いでしょうか?

そして、私に気付いたマリーサさんの反応は大変見物でした!!

慌てて山高帽を目深にかぶり直し、そっぽを向きました。あれは確実に恥ずかしがってる感じです。

「何しに来たんだい。冒険者なら、さっさと街の外にでも行ってれば良いんだよ!!」

「あらあら、母さん?そんなに慌ててどうしたの?」

「エルザ、あんたもあんただよ。わざわざ小っ恥ずかしい事するんじゃない!!」

「どっちにしろ、すぐに分かる事よ。それより、ほらアリアさん。コッチにいらっしゃい。」

「あ、はい。えっとマリーサさん、色々とお世話になりました!!本当にありがとうございました。」

「ふん、ヒヨッコが気にする事じゃないさね。それより、アレから何か良い物はできたのかい?ただ単に、素材を浪費したとあっちゃあ、承知しないよ!!」

「あ、それなんですが……」

「まさか、本当に無駄遣いしたのかい!?」

「いえいえ、違いますよ!!えっと、これが一番の成功例?です。」


name ???

rank  B

???


そういって、あの謎の宝石をマリーサさんに見せてみました。

マリーサさんは、しげしげとソレを観察した後私に返してきました。

「ふ~ん、中々の物じゃないか。アリア、あんたは【召喚術】は使えるのかい?」

「はい、まだまだ初心者ですが……」

「なら、コレはいつか役に立つだろうさ。といっても、まだまだ先の話だがねぇ。実際、まだコレの名前も分かっちゃいないんだろう?」

「はい、なんとかランクは分かるんですが。」

「ふん、それなら分かるのを楽しみにしときな。それじゃ、さっさと出て行くんだよ!!」

「あらあら、母さん。それはヒドいでしょ。アリアさん、これからも生産は続けていくのよね?」

「ええ、もちろんです。だけど、冒険にも行くので何時でもという訳には……」

「ええ、構わないわ。それなら、時々ここに来て【錬金術】の訓練を受けてみない?」

エルザさんから、驚きの提案がきました。

そしてもちろん、マリーサさんが絶叫します。

「エルザ、何を言っとるんだい。こんなヒヨッコを訓練する暇なんて、私にゃ無いよ!!」

「あら、こんな閑古鳥が鳴いている店なら暇でしょう。それに何もただ働きしてって言ってるんじゃないのよ?アリアさんは技術を伸ばせる、母さんは時々働き手が手に入る。Win-Winじゃない!!」

なるほど~と思っていたら、突然目の前にウィンドウが開きました。


『Cクエスト 老魔女のお手伝い』が発生しました。

受領しますか? Yes/No


Cクエスト?恐らく、チェーンクエストでしょうか?

それにしても、これは冒険者ギルドで受けられる依頼とは別口なんでしょうかね~?

色々と思考に耽っていたら、エルザさんから声が掛けられました。

「アリアさん?それで、どうかしら?」

考え事をしている内に、エルザさんはマリーサさんを論破していたようです。なにやらくたびれているマリーサさんが見えます。

「あ、はい。是非受けさせて頂きます!!」

「そう、なら良かったわ!!それじゃあ、これから冒険に出発するのでしょう?今日も冒険日和ですし、頑張って来て下さいね?」

「はい、ありがとうございます!!」

「あと、時々で良いから手伝いに来てね?」

「もちろんです。それじゃあ、行ってきます!!」

「いってらっしゃい!!」

こうして、私はマリーサ魔法薬店を出て参りました。

ちなみに、この会話の間マリーサさんは魂が抜けたように微動だにしませんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る