第15話 【錬金術】を鍛えよう2
それでは、【錬金術】を使っていきましょう!!
【錬金術】Lv1
錬金術による生産に関する技術を得られる。今は初心者。スキルレベル上昇により、アクティブスキル獲得、生産品の品質向上。
アクティブスキル
〈抽出〉〈変換〉〈錬成〉
錬金台には、図形と文字で魔法陣が描かれています。
文字は、俗に言うルーン文字とか言うものでしょうか?
六芒星の頂点に円が、更にその円をつなぐ形で大きな円が描かれていて、それぞれの円の中心には属性を示す文様が描かれています。
う~ん、でもこの魔法陣、どうやって使えば良いんでしょうか?
「……向上心旺盛なのは良いことだけどね、アリアにはその魔法陣はまだ早いよ。それは、素材の持つ属性にまで気を遣える様になった錬金術師が、初めて扱えるもんさ。アリアには、コッチの陣で十分だよ。」
そういって手渡されたのは、錬金台にある魔法陣に比べると、だいぶ簡素な魔法陣でした。
正三角形の頂点それぞれに円があり、文字も刻まれてますが、やはり六芒星の物と比べると全体的にアッサリしていますね。
「その陣で、好きな素材を使って〈抽出〉してみな。その後で〈変換〉すればその素材の派生素材が、〈錬成〉すれば素材を元にしたアイテムができるよ。ただし、さっき教えたとおり組合せが悪ければ、ただ素材が消費されるだけだから注意しな。分かったら、さっさとやるんだよ。」
「はい、やってみます!!」
早速、魔法陣の円に素材を置きましょう。
初めてなので、自分で取ってきた薬草を3束使って見ましょうか!!
「では……〈抽出〉!!」
アクティブスキルを宣言すると、魔法陣が輝きました。そのまま見つめていると、円の中の薬草が緑色の粒子に変わっていって……?
おお~、正三角形の中心に緑色に発光する塊が出現しました!!
これが薬草から〈抽出〉された、薬草の本質なんですね!!
「そして……〈錬成〉っと。」
スキルの宣言と同時に、緑色の発光物体がまた粒子に解れていって、姿を変えていきます。
このまま、初心者ポーションになるのかな!!
ワクワクしてきましたね!!
そして一際大きな輝きの後、魔法陣の中心には……。
「これは……なんでしょうね?」
深緑色の固体が鎮座しておりました。
あれぇ……想定とだいぶ違うんですが………。
「アリア、とりあえず【鑑定】してみな。そして、失敗だとしたら原因を考えてみるんだよ。」
「はい、分かりました。では…【鑑定】。」
name 固形ポーション〈過濃縮〉
rank E
薬草の成分が過剰に濃縮されてしまい、固形化してしまったもの。
あまりにも濃縮された為、回復効果は無くなり、むしろ服用するとダメージを受ける。
明らかな失敗ですねぇ……。
というか、【鑑定】はいつの間にこんなに詳細な内容を教えてくれる様になったのでしょうか?
そう言えば、冒険者ギルドでスキルレベル確認して以来、確認してませんでしたね。
これが終わったら、確認するとしましょう!!
決意も新たに気合いを入れていたら、頭をコツンと小突かれました。
「こら、アリア。余計なことに気を反らしているんじゃ無いよ!!失敗の原因は分かったのかい?」
「ハッ、すみません。えーっと、濃縮し過ぎらしいので、何か水を加えれば大丈夫だと思います!!」
「そしたら、やってみな!!」
先ほどは、薬草3束だったので1束に減らしてみましょう。そして、マリーサさんが出してくれた素材の中から液体の物を……。
【鑑定】で探してみたら、良さそうなモノがありました!!
name 純水
rank C
生活水から不要な成分を抜いた純粋な水。
成分を溶かすベースとして用いられる。
うん、これがベストな感じじゃないですか!!
丸底フラスコに入った物が幾つかあるので、これを二個ほど使わせて貰いましょう!!
「それでは……〈抽出〉、〈錬成〉!!」
薬草と純水から抽出された光が、薄いエメラルドグリーンに輝き、そして形を変えていきます。
今度こそ、上手くいくと良いのですが……。
祈る様な数秒の後、魔法陣の中心には丸底フラスコに入った薄緑色の液体が……。
早速、【鑑定】してみましょう!!
name 初心者ポーション
rank C
初心者向けに作られたポーション。最大HPの25%を回復する。初心者向けに作られているため、使用者が初心者以外の場合、回復効果が格段に落ちる。
『【錬金術】のレシピに、「初心者ポーション」が登録されました。以降、新しいレシピが確認される度に自動登録されます。』
おお~、できました、できましたよ!!
これで、自給自足ソロプレイヤーの第一歩です!!
「今度は、どうやら上手くできたみたいだねぇ。どれ、それをよこしな。………ふ~む、2回目でrankCかい。なかなかに筋は良さそうだね。」
「あ、ありがとうございます!!」
「さて、最初の約束通り、このポーションは貰っていくよ。そこの材料は、ここに置いていくから好きにしな。ただし、使えるのはこの場だけだよ。分かったかい!!」
「はい!!」
「よろしい。それじゃあ、【錬金術】の講義はこれで終いだ。何か分からないことがあったら、私の店まで来な。片手間で良ければ、世間話ぐらいには付き合ってやるよ。」
そういって、マリーサさんは颯爽と作業部屋を出て行きました。
それにしても、すごい数の素材が残ってますね……。
これ全部渡してくれるとか、マリーサさん太っ腹?というかツンデレなんじゃ……。
そう考えていたら、何やら悪寒がしたのでこれ以上考えるのは辞めましょう!!
ええ、私はナニモカンガエテイマセン。
「では……色々試してみましょうか!!」
そうして、私は【錬金術】の深淵へ沈んでいった………。
・
・
・
複合生産施設・受付カウンター
「あら、マリーサ様。【錬金術】の指導は無事終わりましたか?」
「終わらなかった此処に居るわけ無いだろう、エルザ。だいたい、こんな事に私を呼び出すんじゃぁないよ、まったく!!」
「これは失礼致しました。ですが、貴方以上の適任者がおられませんでしてので。ところで、アリア様はどうされましたか?まさか気に入らず、錬成でも…。」
「すました顔して、なんてこと言うんだい。あの子なら、今頃【錬金術】をやりまくっているだろうさ。」
「なるほど、そうですか。では、確実に延長になるでしょうから、マリーサ様。延長料金のお支払いをお願いします。」
「な、なんで私が………」
「まさか、【錬金術】の大家ともあろうマリーサ様が、可愛い弟子のためにお金も払えないと…。」
「いや、だから……、ああ、もういいよ。だからそんな目でコッチを見るのをお止め。まったく、親の顔を見てみたいよ、本当に。」
「では、鏡を御覧になればよろしいかと。」
「減らず口を…。ふん、これで良いのかい?」
「確かに延長3時間分頂きました。また機会があれば、よろしくお願いします。」
「誰が受けてやるもんかい!!あたしゃ、これで帰るよ!!」
「本日はありがとうございました。」
そうして、肩を怒らせ老魔女は受付を去って行った。
それを怜悧な受付嬢は静かに見送る。
「まったくホントに面倒見が良いのよね、母さんは。」
口元に静かな笑みを浮かべながら。
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