第14話 【錬金術】を鍛えよう

「まったく、こんな老骨を呼び出しておきながら呼んだ本人がノンビリしてるんだからね!!」

私は今、絶賛お説教中です。

目の前にいらっしゃる、鉤鼻で山高帽、紫紺のローブを纏って、先が渦を描く様に丸まっている長杖装備のザ・老魔女を地で行くお方は、今回の私の先生です。

お名前はマリーサさんです!!

「ちゃんと聞いてんのかい!?」

「ハイィ、聞いてます!!」

「じゃあ、初心者ポーションの材料を言ってみな?」

「……えーと、薬草?」

「そんくらいは、ずぶの素人でも分かるさね!!【錬金術】馬鹿にしてんのかい!?」

うう~、余計に怒らせてしまいました。さっきから正座しているので、現実だったら脚が痺れて行動不能になりそうです。

「こら、また別の事考えてんじゃないよ!!さっさとその錬金台に材料出しな!!」

「い、イエス、マム!!」

「フン、まったく……。」

マリーサさん監視の下、インベントリから薬草を9束取り出します。

「………こんだけしか無いのかい?」

「はい…あのぉ、足りないですか?」

「あんたが駆け出しの素人じゃなきゃ、十分だろうさ?」

ああ、足りなかったみたいですね……。でもどうしましょう、今から採取に行くわけにも……。

「仕方ないから、少しだけ材料を融通してやるよ。たったこれだけじゃ、訓練にもなりゃしない。材料費は……そうだね、今日できた1番品質の良い奴を貰うよ!!」

「ハイ!!って、え、良いんですか!!」

「ったく、調子の良い子だよ、まったく!!」

そう、ブツブツとおっしゃいながら、マリーサさんは錬金台に沢山の素材を出してきました。

薬草から始まり、色々な花や茸、そして骨といった動物系の素材まで…。

「あんた、アリアとか言ったねぇ?さすがに【鑑定】ぐらいは持っとるんだろうね?」

「はい、持ってます!!」

「なら、話は早いね。素材に関する説明は後回しだ。必要な物は教えてやるから、それ以外は勝手に【鑑定】して調べな。そうすりゃ、少しは【鑑定】のスキルレベルも上がるだろうさ。」

「はい、分かりました!!」

「よろしい。それじゃあ【錬金術】の講義を始めるよ!!」

講義?授業なんですか、これは!!

「アリア、ちゃんと集中しな!!これだから、最近の若いもんは、基礎を疎かにして実践ばかりやりたがる……。」

「す、スミマセン。」

「いいかい、まずは【錬金術】の基本からだ。【錬金術】の本質は、抽出と融合から………。」

「………。さて、以上が【錬金術】を行うにあたっての基本事項だよ。簡単に言えば、素材からその本質を抽出し、混ぜ合わせ、別の物を作る作業だ。そして原則として無から有を創り出すことはできない。分かったかい?」

「はい、……なんとなく?」

「初めてでそれなら上出来さね。それじゃあ、早速実践を始めるよ!!」

ようやく、講義が終わりました。簡潔にまとめて頂けましたけれど、それでもだいぶ時間がかかりましたね~。それだけ、奥が深いということなのでしょう!!

というわけで、マリーサさんのおっしゃっていた様に、やっと実践です!!

頑張りますよ~!!

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