第12話 始まりの街を散策しよう

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食事に掃除、その他諸々を片付けていたら、だいぶ時間が過ぎてしまいましたね。

ESOに戻ってみると、夕暮れ時だったのが完全な夜に変わっていました。どうしましょう、まだやってるお店とかあるんでしょうかね?

とりあえず、ぶらぶら散歩してみましょう!!


う~ん、やっぱり結構閉まってますね。

酒場のような所や何を売ってるのか分からないようなアヤシいお店、後はポーション店とかはまだ開いてるみたいです。

何処に行きましょうかね?

あのアヤシいお店に入ってみましょうか!!

「お、お邪魔しま~す。」

入ってみると、微かに明かりがついてるのが逆に不気味さを煽ってきます。周りを見渡してみると、ガラスの瓶の中に浮いてる目玉やら大きな骨、何かの羽といった、これまたアヤシい物ばかり…。

は、入る店間違えたかなぁ……。

「これはこれは、珍しいお客さんですね」

「は、ハイィ。」

び、ビックリしました……。

丁度、謎の頭蓋骨と目を合わせていた時だったので、骨が喋ったのかと………。

声がした方を向いてみると、モノクルを掛けた如何にも執事風の老紳士がいらっしゃいました。

「ほほほ、驚かしてしまいましたかな?これは失礼を致しました。」

「あ、スミマセン、お邪魔しています。アリアと申します。」

「これはこれは、ご丁寧にどうも。そしてようこそ、我が魔法素材店へ。私は店主のガロウと申します。」

「魔法素材店、ですか?」

「左様です。失礼ながらアリア様は、【錬金術】や【調合】、あるいは【召喚術】といったスキルをお使いになられますかな?」

「はい、【調合】はしませんが、【錬金術】と【召喚術】は使っています。」

「それは喜ばしい事です。ここでは、そういったスキルに使う素材や媒体を取り扱っております。しかし……僭越ながら申し上げれば、アリア様がここの素材を扱うには、まだ力量が足りておられません。」

「そうなんですか…。分かりました、スキルレベルが上がったら、また来ます!!」

「左様ですか、それではその時を楽しみにさせて頂きます。それ以外でも、何か相談が御座いましたら、いつでもいらっしゃって下さいね。」

「分かりました、ガロウさん。それでは、お邪魔しました。」

「ええ、それでは良き冒険を。」

ガロウさんに見送られて、私はお店を後にしました。


「ふむ、なかなかに有望そうなお嬢さんですね。」

アリアが後にした魔法素材店の中で、ガロウが呟く。

「貴方もそう思われるでしょう、プラフタさん?」

「まだまだヒヨッコですけどねぇ、ガロウ。」

声を掛けると、さっきまでアリアの見ていた棚と反対側の棚の裏から、プラフタが顔を出した。

「おやおや、貴方が手取り足取り教えた子なのにですかな?」

「まだ〈初級召喚〉しか使えない子を、ヒヨッコと言わずしてなんと言うのかな?」

「それもそうですね。失礼致しました。では、此方がお求めになっていた『古の歯車』ですね。」

そう言って、ガロウは古ぼけて錆の浮いた壊れかけの歯車をカウンターへと取り出して、プラフタへと示す。プラフタは、じっくりと歯車を眺めた後満足そうに頷いた。

「ありがとう、これでまたあの子が喚べるわ。」

「そんな事態が起こらないことが、1番良いのですが…。」

「備えあれば、憂い無しと言うでしょう?」

「違いありませんな。」

二人は、片や淡く、もう一方は苦笑いと言った笑いを浮かべていた。

「さて、それではこれで失礼するわ。また何か良い素材が見つかったら、連絡を下さい。」

「畏まりました、またのお越しをお待ちしております。」

「それと、アリアはきっとここの素材を使えるようになるわ。楽しみにしてなさい。」

「ほほほ、『城壁喚び』の貴方が保障する期待の新人です。楽しみにしていましょう。」

そう言って、二人は分かれたのだった。

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