暴走
「グシャッグシャッ……ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァー‼︎」
身長10メートル以上のオオトカゲが、その大きなお口でチョーさんを丸呑みしながら暴れまわっている。
その正面には、地に倒れ、気をおかしくしていたチョーを、助けるどころかトカゲの口に放り込んだ赤ずきんが何をするでもなく立っている。
その手には血まみれのノコギリが、
ウルフから聞いていた特徴にぴったり合う人影が、そこにあった。
「おい……何やってるんだ、あいつ」
その光景が目に入って、思わず立ち止まってしまったエルダー。
「どうしたの?怖くて動けなくなったの?私がお姫様抱っこして走ってあげようか?」
こちらにも一人、頭がおかしくなってるやつがいるが、
「いや、あれだよ……依頼の赤ずきんだよな?」
相変わらず、何かモーションを起こすでもなく、チョーが飲まれて行くのを見ながら棒立ちしている赤ずきんを指差す。
「えっ?マジ?じゃああれの首跳ねて持ってきゃあのクソ犬っころどもとおさらばできるのね⁉︎」
パァァァァァー‼︎っと、ものすごく嬉しそうに目を輝かせたシャールが剣を抜き、構える。
「ち、ちょっとルーちゃん⁉︎何言ってるのか意味わかんないよ?」
確かに赤ずきんを生きて連れて来いとは言われてないけど……と、シャールの少し歪んだ解釈に、顔を青くしてドン引きするエルダー。
「しかも見た所、あれはただの悪じゃない、なんのためらいもなく首を跳ねれるわ‼︎」
きゃっほーい‼︎と、そんなエルダーもおかまいなしに、完全に周りが見えなくなったシャールが、赤ずきんめがけて突撃を始めた。
今のシャールには、何よりの脅威であるオオトカゲの存在すら、なんでもなくなっている。
「ルーちゃん‼︎周りをよく見て‼︎」
エルダーが、自殺行為をしに行っているとしか思えないシャールを慌てて止めにかかる。
が、
「――ッシャオラァァァ‼︎エー君は私んだァァァァァー‼︎」
エルダーの制止を無視したシャールの剣の間合いに赤ずきんの首を捉えた。
「だからさっきから何言ってるのかわかんないよ‼︎」
エルダーのツッコミも耳に届かず、
「もらったァァァァァァァァァァァァァァァァー‼︎」
思いっきり振り切った。
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