逃走、

「グギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァー‼︎」


相変わらず、聞いただけで全身か鳥肌立つような、最低に気味の悪い咆哮と共にオオトカゲがエルダー達を獲物と捉え、二人めがけて走り始める。

「…………ッ‼︎」


「――クッソ、ウゼェ」


突如地面に開いた大穴から出て来たオオトカゲから逃げるため、急いで森へ入ろうとしているエルダーとシャール、

今、トカゲと二人の距離は約100メートルほど、


森まではあと20メートル、


後方20メートルには奇声を発しながら転げ回るチョー、


シャールが一番前、そのすぐ後ろにエルダー、


完全に二人に焦点を合わせたオオトカゲがものすごい勢いで追い上げている。


トカゲの走る速度は、二人が森にたどり着く前に追いつきそうなほど速い。


そうこうしている今も、トカゲと二人の距離は縮まっていて、ちょうどチョーが転げ回っている位置にトカゲが到達したところのようだ。


「グギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァー‼︎」


「うわぁああああああー‼︎」


トカゲの咆哮に答えるようにチョーが叫び回っている。


「チッ、イライラする……やっぱりあいつ殺しとけばよかった。」


シャールが心底悔しそうに一瞬振り向く。


「…………は?」


「えっ、どうしたのルーちゃん?」


この緊迫した状況で出た、シャールの間の抜けた声につられて振り向いてしまうエルダー。


「……は?」


思わず出たのは、シャールと同じリアクションだった。


そこには、さっきまで叫び転がっていたチョーの姿はなく、


走ることをやめて大口開けて威嚇しているトカゲと、


その口に、力なく気絶しているチョーを放り込んでいる”赤い頭巾”の姿があった。

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