なんてことしたの……
エルダーの目に写るは、光が強くてどうなっているのか分からないくらい、めちゃくちゃに爆ぜる、バチバチと雷を発している矢と、
轟音と共に弾けるそれに巻き込まれ、シュレッダーにかけられる紙のごとく破壊されていく街の門だった。
……黒い玉はもうどうなったか分からない。
「えっ、ルーちゃん……ナニヤッテンノ?」
数秒後、
雷が止むと共に、露わになっていく、被害、
かつて門の形をしていた瓦礫の山に、ぺちゃんこにひしゃげた、おそらく街のセキュリティだったであろう、黒い玉、
それらを死んだ目で見つめながら、無感情に尋ねるエルダー。
セキュリティを無視して素通りしようと言いだしたくせに、突如それごと何もかもぶち壊したシャールにドン引きするエルダー。
「うん、なんかウザそうだったから、何かされる前に潰しといた‼︎」
そんなエルダーの心中も知らずに「ねぇ、私すごい?」とでも言いたげに、目を輝かせて答えるシャール。
「いや、それはすごいけどさ……」
これからエルダー達は、この街に入って人探しをするのだ。
なのにそんな街のセキュリティと門を木っ端微塵に破壊したとなれば、最悪敵の襲撃と思われ、その犯人たるエルダー達は、敵の手先とでも思われ、追われる羽目になるだろう。
そうなれば、人探しどころではなくなる。
……なんてことしてくれたの?
と、ボーゼンと立ち尽くすエルダー。
それとは逆に、「やった〜」と一人ではしゃぐシャール。
そんな彼らとは別に、街の方からは、
「なっ何事だ⁉︎」「門が破壊されたぞ‼︎」等、
街の住人のものと思われる声が聞こえてくる。
「あぁ〜……一旦引くか?」
どう考えてもこちらが悪いので、一旦引いて、状況が収まるのを待ちたいエルダー。
だが、
「いたぞー‼︎」「悪魔だ‼︎間違いない、ヤツがやったんだ‼︎」
どうやら見つかったらしい。
街の中からそこの住人達と思われる、鍬や斧を持った人影が次々現れ、走ってくるのが見える。
「仕方ない、謝るぞ‼︎ルーちゃん。」
こうなったらもう謝るしかない。こちらは争う気は全くないのだから。
そう思ったエルダーが、シャールに近づき、目を見て話そうと、肩に手を置き、振り向かせる。
「……いやだ。」
するとどうやらエルダーや街の人々の雰囲気から、自分のしたことに気づいた様子のシャールだが、なぜか頬を膨らませて駄々をこね始める。
「おい!」
「いやだ!」
頑なに謝るのを拒否するシャール。
そうこうしている間にも、走ってくる街の住人達との距離は近づいてきて、そして……
「ありがとぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」
エルダー達を囲んだ人々は、なぜかとんでもないことをやらかしたはずのエルダー達に、お礼を言ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます