やりやがった、
「私の邪魔をする目障りなゴミを粉砕せよ!カラドボルグゥゥゥゥ‼︎」
バチバチと弾ける、激しい雷を纏った弓を構えたどっかの馬鹿が叫ぶと、
ピカッと、
地上から空へ、一筋の稲妻が走った。
稲妻の正体は馬鹿の放った矢、
この世界にあるかは知らないが、自身達のいた世界には、特別な力を宿した装備がいくつかあった。
それは共に戦っていた天使達から、エルダーやこの馬鹿女(シャール)のような、選ばれた勇者と呼ばれる人間にのみ物をとを許されたもので、扱えるのもまた、その選ばれた人間のみとされていた。
そんな制限もあることからか、それらの装備はどれも強大な聖力を宿していた。
聖力とは、力を持つ個体によって扱える種類は違うが、主に、水や火といった、実態のないものを操ることができ、そんな力を宿した装備のうちの一つ、シャールの持つカラドボルグは、雷を生み出したり、操ったりすることができる弓矢である。
そんな雷の聖力を纏った弓矢で、この馬鹿が一体何をしようとしているかというと、
「……ピピッ、強力なエネルギーを感知……」
今にも何かしてきそうな黒い玉、おそらく街の出入り口のセキュリティと思われるそれを、
「ぶっ壊せ‼︎」
……ぶっ壊そうとしていた。
……それは今から約一分前、
自分とシャールは、この街にいる、とある人物を探し出すという依頼を受け、街の入り口まで来た。
のだが、門の前には例の黒い玉、
どうも、タダでは入れなさそうな雰囲気だった。
どうしたものかと考えていたら、シャールが、
「えっ?そんなの無視無視。」
と、自分の手を引き、セキュリティを無視して街へ入ろうとした。
だがそうなると当然セキュリティが発動する。
そして、黒い玉が自分達を感知し、何かをしようと、起動し始めたところで、
このまま放っておくと自分達の邪魔になると感じたらしいシャールが、背中にかけていた弓矢を取り出し、構え、
「くたばれ邪魔者‼︎」
なんの躊躇いも無く、聖力を全力で解放、凄まじい雷を纏わせて矢を放ったのだった。
稲妻のごとく空高く打ち上げられた矢は、勢いのおさまった頂点で一瞬停止、矢の先を上から下へ変え、そのまま降ってくる。
矢の纏っている雷は、地面に近づくにつれて激しさを増し、
黒い玉に直撃する頃には、打ち上げた時の数倍の雷を纏っていて、最早直視できないほどの光量になって、
ズドォォォォォォン‼︎
と、ものすごい轟音を立てて爆ぜた。
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