新世界
「新しい……世界?」
「はい、実は私がこの空間に避難し、厄災が眠りについたことを確認した直後に、突然、以前の世界とは異なる全く新しい世界が生まれたのです。」
そんな馬鹿な!だって、
「今の女神ハンナには、以前の世界を元に戻す力すら残されていないのでしょう?それなのにどうやって?新しい世界の創造なんて……」
できるはずがない、もし、新しい世界を作るだけの力があれば、世界を元に戻したはず、
わざわざ一から新しい世界を作る理由はないハズだ。
「私ではありません。」
「?……どういうことですか?世界の創造なんて、女神であるアナタ以外にできる者はいないはずです。」
「いいえ、私でも、世界を元に戻すのがやっとです。新しい世界を創り出すなんてことは、できません」
「では誰が?」
「新しい世界を造ったのは、新しい女神です。」
「新しい女神?」
「はい、理由は私にもわかりませんが、確かに感じます。あの世界には、私と同じ女神がいます。そして、その新しい女神が、厄災によって消滅させられた我々の世界の後に、上から新しい世界を作り出したのです。」
「では、自分が召喚された理由は!」
「はい!貴方にはその新しい世界へ行き、その世界の実態を調査してきて頂きたいのです。」
そして、と続ける女神、
おそらく今から言うことこそが、女神が本当に言いたいことなのだろう。
「……あの世界には、女神ともう一つ、大きな力を感じます。おそらくは厄災のものでしょう……」
なるほど、女神が言いたいことが見えてきた。
あの世界のどこかに、自分が守りたかった、女神ハンナの創り出した世界を消し去った、仇敵厄災がいる。
つまり自分はその新しい世界の調査に加え、厄災を見つけ出し、そして……
「今度こそ厄災を倒し、世界を救ってみせます‼︎」
それだけで自分があの世界へ行く理由としては十分だ!
「お願いします、勇者エルダー、……あの世界がどんな世界であれ、そこに住む人々には何の罪もありません、よって、厄災に再び滅ぼさせるわけにはいきません!」
「当然です!この勇者エルダー、女神ハンナの期待に応えられるだけの働きを、今度こそしてみせます!」
こうして、勇者エルダーの、世界を救うための戦いが、再び始まったのだった。
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