大会に、出よう。

第9話

1/8。新学期が始まった。

「おっはよーー!」

「おはよ。相変わらず本当に依莉は元気だね〜」

「そんなことないよ…」

「ん?ちょっと元気ない?どうしたの?宿題終わらなかったー?」

「宿題…は、なんとか終わらせたから大丈夫!そうじゃなくてー今日、早々に席替えなんだって…」

「えってことはこの席…」

「そうなの!隣じゃなくなっちゃうよ〜」

依莉にしては珍しく、すごく悲しそうな顔をしている。

「そんな悲しまないの!また近くの席になるかもしれないじゃないー同じクラスなんだから」

「この!冷血!」

「なによ!たかだか席替えくらいで!」

「たかだか……?」

依莉がムッとする。

「「ふん!」」

お互いにそっぽ向いて…

「ふふふっ」「ははっ」

吹き出してしまった。

「まあ、そうだよねー私たちの絆が深いから、神はきっと私たちをまた隣にしてくださる!」

「いや…それは大げさだけどさ…」

「そう?ソンナコトナイヨ?」

おどける依莉。話がひと段落したところで、私は朝から聞きたかった質問を依莉に聞く。

「そうだ、今日から、活動するの?」

「もちろん!まっかせといて!」

今日も依莉の渾身のウインクが決まった。



放課後、依莉に言われたので、社会科室に向かう。

「失礼しまーす…ってあれ?」

依莉は私より先に教室から出ていたのに、社会科室にいなかった。

まぁ、いっか。1人で待ってよう…。

これからの活動について何をやるんだろう、とかみんなはどのパートがやりたいのかなーとか考えてたら、廊下から変な鼻歌が聞こえてきた。

ふんっふふふんふふふっふんっふんっ♪

…この音痴は。

「やっほー!三笠いるー?」

やっぱり、依莉か。後ろから一緒に環ちゃんが苦笑しながら入ってくる。

「えりぃ、歌下手なんだねっ」

「そんな可愛い感じで言わないでよ〜余計傷つくでしょ?」

「傷ついてるようには見えないよっ?」

2人がワチャワチャ言い争いをしている。まあ、依莉が鼻歌歌ってたのはさっきの席替えのせいだろうけどね。なんと、私と依莉鼻歌前後になったのだったー!わーいっ私もテンション上がる…!

「まあ!置いといて!!活動、始めよう!!ほら!三笠!」

「え?ん?何?今日何するの?」

「もう、三笠はダメダメなんだからー」

いや…何も聞いてないよ…?

「今日はですね!ディベートの感想を話し合って、どのパートをやりたいかを考えるのですー」

「よさそうだねっ!えりっ」

ほー…そうきたか。まあ、今一番やりたいのはそれだけどね…。

なんにもディベートのルール知らなくてそんな話進めていいのかしら。

「大丈夫、大丈夫。明日土曜日でしょ?学校午前で終わった後、みんな空いてるよね?水戸兄に、アポとっといたから!」

…私の疑問が見透かされている。まあ、そういうとこはちゃんとやっとくのが依莉か。

「ね?わたしにまかせとけって!」

…本日2回目のウインク。なんか、依莉、ウインクの回数増えてない?気のせいかな…。

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