第7話

15:00になった。決勝戦が始まる。なんと、広い会場だから、マイクを使うようだ。

「時間になりましたので、登録メンバーの確認をいたします。

肯定側、慧進高等学校。立論、菊本颯きくもとはやてさん。」

「はい、よろしくお願いします。」

「質疑、飯田伸一郎いいだしんいちろうさん。」

「はいっよろしくお願いしまっす。」

「第一反駁、野々山達也ののやまたつやさん。」

「…よろしくお願いします。」

「第二反駁、水戸宏樹さん。」

「はい、よろしくお願いします。」

「否定側、駒山学園高等学校。立論……」

選手の確認が続く。全員男性。おそらく、いや、ほぼ確実に1個上か2個上だ。

この中で、これからやっていくんだな…。

興奮と不安が入り混じった気分。朝からずっと。でも、そこに期待が含まれてきたような気がしている。

試合が始まる。

また、あのシン…とした空気と、紙をめくる音。そしてタイマーのピッピッという操作音。

これが、試合の雰囲気だ…。1日かけて、それを体感してきた。

「それでは試合を開始します。論題は、日本は道州制を導入すべきである。是か非か。です。

肯定側立論、準備はよろしいですか?」

あれ?あの人マイクを持ってないよ?

審判の1人が言う。

「マイク、使ったほうがいいんじゃない?」

「えっと…あ、あ、聞こえますか。」

その人の声は、この大きい会場でもはっきりと聞こえた。とてもよく通る声だ。

「ん、それならいいか…。」

審判の人も、驚いている。

「あ、では。肯定側立論、時間は6分間です。始めてください。」

「始めます。プランは4点。……」


決勝戦が、始まった。

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